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エルスウェーニョ 横浜駅ジャズ&イタリアンレストラン マスターファンタジー
ビッキーとユーリのユルメ探訪 第27話
オリュンポス神殿の大広間のダイニングテーブルでビッキーとユーリは神々と一緒に食事を楽しみながら3Dシアターの映像を見ている。
神々とビッキーとユーリはディオニッソスの顔に目を向けた。アリアドネを救ったのは、あるいはテセウスを行かせたのは彼なのだ。デュオニッソスはニコニコしている。
映像はアテネの街を映し出す。まるでそこにいるかのような臨場感だ。
商店街を過ぎた中央広場にたくさんの人が集まり中央のオリュンポスの祭壇に立つホメロスを静かに聞いている。ホメロスは両手を天に差し伸べ歌う。
「ミューズの女神よ 詩の女神よ 我に歌わせたまえ ヘレネの美しさを。 オイディプスの悲劇を。
ヘレネは少女合唱団で歌っているがこのころになると年頃となって、際立って美しくなってきた。
王宮にテーバイの王の息子オイディプスが訪れた。
超イケメンのオイディプスに少女たちは夢中になり、ヘレネもオイディプスの気を引こうとしたが、オイディプスは年上好みだったのでヘレネにあまり興味を示さなかった。
オイディプスはこれから旅に出るところだ。
テーバイの王の息子として育ち、知性も武術も抜群の若者に成長したオイディプスは、
ある夜甘美な夢を見た。若く美しい女性と愛し合う夢だ。
思春期の青年なら誰でもみる夢だ。ところがその女性の顔は驚いたことに母親だった。
実際に母は若く美しかった。朝、オイディプスは母親の顔をまともに見ることができなかった。
毎夜、毎夜同じ夢をみる。そして、今度は夢に予言者ティレシアスが出てきて、
「お前は父を殺し母と結婚することになる」
という予言を告げた。
ティレシアスはかつてアテナ女神の水浴する姿を目撃してしまって目が潰れ、
アテナがあわれんで予言の力を授けたといわれる予言者だ。間違いはない。
それでオイディプスは家をでて旅をしているのだ。
ヘレネたちのいる王宮を後にしてオイディプスは山道にさしかかった。
そこにスフィンクスがいる。
道行く人に謎かけをして、答えられないと食い殺してしまう恐ろしい怪物だ。
下半身がライオンの女だ。オイディプスが来るとスフィンクスは問いかける。
「初め4本の足で、次に2本の足、やがて3本の足となるものはなにか?」
オイディプスはスフィンクスの顔をじっと見る。怪物とはいえ、美しい顔の女だ。
スフィンクスもオイディプスの顔を見る。食い殺すにはもったいない美しい男だ。
だがオイディプスは答えた。
「それは人間だ。」
スフィンクスは驚き、恥辱で真っ赤になった。そしてうなだれ、崖から飛び落ちて死のうとした。
が、しかしオイディプスがうしろから抱きとめた。
「待て。はやまるなスフィンクス」
「謎を解かれては生きてはいられません」
「死ぬことはない、私が妻にしよう」
「あなたのような美しい男の妻に?私のような怪物が?」
「おまえは美しい。」
「ああ。オイディプス。あなたのような男に愛されたならどんなに幸せでしょう。」
こうしてオイディプスはスフィンクスを妻とし、旅を続けた。
オイディプスは心のなかで言った。
「ティレシアス殿、あなたの予言ははずれたようだ。」
スフィンクスがかつて産んだ赤子が、テーバイ王に拾われ、育てられたということは神のみぞ知る。
第27話 終わり
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ビッキーとユーリのユルメ探訪 第24話
オリュンポス神殿の大広間のダイニングテーブルでビッキーとユーリは神々と一緒に食事を楽しみながら3Dシアターの映像を見ている。まるでそこにいるような臨場感だ。
ホメロスの歌をここまで聞いて、オリュンポスの神々の間に気まずい空気が流れた。
牛の目のような美しい瞳のヘラの顔が引きつっている。白い腕がブルブルと震えている。
ゼウスはあさっての方を向いている。気の強いアテナと純潔のアルテミスはしかめっ面をしてヒソヒソと話している。
アポロンとヘルメスは困った顔をしている。
ヘラはバッと立ち上がると夫のゼウスの頭に皿をぶちまけ、料理をあびせかけ、ツカツカツカと立ち去った。
アフロディテが下を向いてクスクス笑っている。デュオニッソスもニヤニヤ笑っている。
ビッキーとユーリはよく状況がわからずながらじっとしている。
映像はアテネの街を映し出す。アテネの街の中央広場の祭壇でホメロスの歌は続く。
「ミューズの女神よ、詩の女神よ 我に歌わせたまえ レダの美しさ、とまどい、悲しみと喜びを。
レダは泉で気を失ったままじっとしていた。やがて目が覚めた。太陽が西の方から輝いている。
白鳥はもういない。夢を見ていたようだわ。なんと甘美な夢だったこと。
そして家に帰り、ふつうの日々に戻った。
月日がたった。レダは、自分が身ごもったことを知った。あの夢は本当だったのかしら。
ではあの白鳥は?母親もレダの身の変化に気づいた。
「レダや、誰の子を身ごもったか正直に言ってごらん」
「白鳥が…」
「白鳥?そんなことがあるものですか」
その時、ゼウスの使いのヘルメスがレダと母親の前に現れ、告げた。
「あなたの体の中に全能の神ゼウスの御子がいます。」
ではあの時の白鳥はゼウスの神だったの?神の子を産むなんて。だいそれたこと。なんてだいそれたこと。
しかしながら自然の力、神の力は抗しがたく、月日が満ちて女の子が産まれた。
ヘレネと名付けられた。
ゼウスはヘレネを可愛く思い、またレダを哀れんで人知れずレダの家族の作物や羊たちを増やしてやり、ヘレネがスクスクと育つようにはからってやった。
月日がたった。美しい少女に育ったヘレネは、スパルタ王メネラウスの王のお抱え少女合唱団に採用された。
特別に可愛かったので、人々の人気の的となった。
第24話 終わり
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ビッキーとユーリのユルメ探訪 第23話
オリュンポス神殿の大広間のダイニングテーブルで
ビッキーとユーリはゼウスの神と家族の神々と一緒に食事を楽しみながら3Dシアターの映像を見ている。
まるで部屋全体がアテネの町をフワフワ飛んで目の当たりにしているかのようだ。
映像はアテネの街を映し出す。商店街を過ぎ、中央広場にオリュンポス祭壇がある。
今、オリュンポスのお祭りの最中で華やかに飾りつけ、周りは出店でいろいろ食べものを売って人がいっぱいだ。
人々は着飾って、家族で、あるいは恋人同士で楽しげに歩いたり話したりしている。
中央広場の祭壇に人が立った。盲目だ。人々は静かになって祭壇を囲み、その人に注目する。ホメロスだ。
ホメロスは両手を天に差し伸べ、歌い、語り始める。
「ムーサの女神よ 詩の女神よ 我に歌わせたまえ 神々と人々の父ゼウス大神の尊さを、そしてレダの美しさを」
人々はしんとして聞き入る。オリュンポス神殿のビッキーとユーリも聞き入る。
「神々と人々の父、ゼウスは,オリュンポス神殿でゆっくりとネクトルを飲みながら一人の時間を楽しんでいた。
妻の大きな美しい瞳のヘラと娘の気の強いアテナはアテナの街へお出かけしている。
女のすることだ。買い物をしたり食事をしたりすることだろう。
他の子供たち、足首細き麗しのアルテミスは月へ、この上なく美しいアフロディテはエーゲ海へ、でかけている。
息子たちアポロンは太陽へ、ヘルメスは西のアトラス山へでかけている。
末っ子のディオニッソスはどこへ行ったかわからん。
あいつはまったくわけのわからん男で、酒ばかり飲んで全く何を考えているのやら。
ともあれ、平和な日だ。静かな日だ。
ティターン巨神族やギガンテス巨人族との戦いもなんとか終わり、
やつらも地下のハデスのところでおとなしく繋がれておる。
もう戦いを挑んでくることもあるまい。
ポセイドンも海を静かに治めているし人々の暮らしもつつましく平和だ。
やっと平和な日々が訪れてきた。
思えば源初、カオス(混沌)の中から母なるガイアが世界を生み出してから今までずっと戦いの連続であった。
やっと平和な日々が訪れてきたのだ。
そうして全能の大神ゼウスは雲に乗り、平和な地上の上をゆっくりと散歩していくのであった。
地上は緑豊かに、花々が咲き誇り、美しく、そして生命に満ちあふれている。
太陽が輝き、空気も澄んで、美しい世界だ。緑の山々が連なり、緑の牧場が広がっている。
緑の中に美しい泉がある。白鳥たちが水浴びしている。
おや、女が一人歩いてきた。羊飼いの女か。まだ若い。
女は泉のそばに来ると立ち止まり、周りを注意深く見回してから服を脱ぎ始めた。
水浴びをするつもりか。全能の神ゼウスは雲の上から見下ろしていたが、
いやいやここで事を起こしてはせっかくの平和な日々が台無しになってしまう。
今は静かに過ごすべきだと見なかったことにし、ゆきすぎた。
泉と女を通り過ごし、忘れようとしたゼウスの神にガイアとエロース(生命の力)がつぶやきかける。
「あの美しい女が欲しくないのか」
確かに美しい。そうして、全能の神ゼウスは自らの身体を白鳥の姿に変え、いずみへ舞い降りた。
———-
レダは泉に足を入れた。太陽がまぶしく、暖かい。水も暖かい。私の他には誰もいないわ。
なんて気持ちのいい日でしょう。お父さん、お母さんと3人で山の牧場での暮らし。
つつましやかながら平和に育ったわたしも大人になってきたわ。これからわたしはどうなるのかしら。
どんなすてきな男性が現れるのかしら。レダは泉の中でその美しい肢体を長々と伸ばした、
あれ?なに?この白鳥、そばに来て、なんなの。へんな白鳥ね。なに?どうしたの?あっ、何をするの、おまえ。
おまえはだれ?ああ… レダはそのまま気を失った。太陽は輝き。美しい世界を時間がゆっくりと過ぎていった。」
第23話 終わり
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ビッキーとユーリのユルメ探訪 第22話
ビッキーとユーリはオリンポス神殿に滞在している。
シェラトンホテルのスイートのような部屋でニンフ(妖精)たちがお世話をしてくれて、
豪華なベッドで寝て、大きなお風呂に入る。
子どもの妖精たちが遊び相手になってくれて、神殿の中や山々を自由に遊び回る。
オリュンポスのお祭りの最中なのでゼウスの大神の家族もみんな集まって、一緒に食事をする。
神々もみんなビッキーとユーリにやさしくしてくれる。
ダイニングホールの大テーブルで食事をしながら歓談したりして時を過ごす。
ホールの大きな白い壁はスクリーンになっていて、いつでも見たいもの行きたいところが映しだされる。
3D劇場というもので、あたかも部屋全体が雲にのってその場所へ移動して目の当たりに情景を見るかのようにリアルな感覚だ。
今日はアテネの街が映しだされる。アテネの町を雲に乗ってフワフワ飛んでいるかのようだ。
アテネは城壁に囲まれた都市国家(ポリス)で合議制の市民社会であった。
人々はこの街で市民として政治に参加し、法をつくり、秩序を保った。
プラトニック大学院が映しだされる。学長のプラトンは演壇に座って学内を見渡している。
才能あふれる若者たちに「知」というものを説いているのは名誉教授のソクラテスである。
向こうの部屋では助教授のアリストテレスが「イデア」(idea)について講義している。
物理学部では講師のアルキメデスが教えている。先般アルキメデスの原理を発明したばかりだ。
アルキメデスは王に呼ばれて王冠が純金であるかどうかを壊さずに証明せよ。と命ぜられて、
日夜ウンウンとうなって考えた。証明できなければ首が飛ぶ。
考えながら湯舟につかって、湯があふれ出るさまをみて、
「エウリカ、エウリカ」わかったぞ、わかったぞと飛び出した。
王冠と同じ重さの純金を水につけてみて、あふれる水量が王冠と同じであれば純金である。
これによってアルキメデスはプラトニック大学院に迎えられたのである。
教育学部ではケンタウロスのケイロンが教えている。
馬の足で諸国を回り知識の宝庫であるケイロンは多くの英雄たちを教え、育てた。
医学部ではヒポクラテスが医は仁なりと教えている。
医者というものは愛を持って人の痛みを助けるものであると説く。
プラトニック大学院に別れを告げて映像はアテネのおしゃれな商店街を通りオリンピックスタジアムを映し出す。
オリンピック祭典の最中でこれからオリンピック競技の華である100メートル競走がはじまる。
男たちがスタートラインに並ぶ。
ギリシャのヒッポリウス、黒人のカール・ルイスやグリーンなどがいる。
おおーと場内が大きくざわめいた。大観衆がうおーと地鳴りのように騒いでいる。
「飛び入り参加がある模様です。おおっと女だ。アタランタと名乗っています。
女物の衣装を脱いで裸で走る模様です、男たちの目を釘付けにしています。
選手たちがスタートラインに並びました。
ヨーイ・ドン。アタランタが飛び出しました。速い速い。
ヒッポリウス、ルイス、グリーン、アタランタの後ろを追う。
アタランタの美しい後ろ姿に見とれて、追い抜くことができません。
アタランタ、トップを走る。走る。ゴールイン。アタランタ優勝です。
男たち負けました。悔しがっています。
女に負けたこと以上に自分に負けたことが許せないことでしょう。」
オリンピックスタジアムから実況でした。
オリンピックスタジアムに別れを告げて、映像はスパルタ武道館を映し出す。
「これから世界最強の男の決定戦が行われます。
無敵の王者、ギルガメッシュに若き怪力男ヘラクレスが挑戦します。
最強の男はどちらか?両者、リング上で握手しました。
「カーン」ゴングが鳴り、試合開始です。両者中央で組み合います。
力比べでは怪力ヘラクレスに分があるか。おお、ヘラクレス、ギルガメッシュを持ち上げ、ボディスラムで投げました。ギルガメッシュ、すばらしいバネでドロップキックでヘラクレスを蹴り飛ばします。ヘラクレス、その腕力でギルガメッシュをヘッドロックで締め付けます。おおっと、目にも留まらぬ速さでギルガメッシュ、バックドロップを決めました。電光石火の早業です。ヘラクレス、頭からリングに叩きつけられて起き上がれません。ギルガメッシュ、ロープ最上段から飛んでニードロップをヘラクレスに決めました、押さえこんで、ワン・ツー・スリー、ヘラクレス、立ち上がれません。ギルガメッシュ、王者タイトルを守りました。場内、割れんばかりの歓声でギルガメッシュを称えております。」スパルタ武道館から実況でした。
スパルタ武道館に別れを告げて映像はコロス歌劇場を映し出す。
劇場ではソフォクレスの悲劇「オイディプス」が上映されているところだ。
合唱団や楽隊を後ろに従えて、名優デローニがオイディプスを演じる。
そうとは知らず父親を殺してしまい母親と結婚してしまうという男の悲劇の物語だ。
あまりの悲劇的なストーリーと名演技で場内あふれんばかりの観客はみな涙を流して演技に熱心に見入っている。
コロス歌劇場に別れを告げて映像はアテネの商店街をゆっくりと映し出す。
人々は自由に仕事をし、義務を果たし、お互いを尊重し、生活し、神々を敬い、暮らしている。
紀元前数百年のころのことである。
第22話 終わり