カメリーナの生まれがいつなのか誰も知らない。
それは遠い昔。
それより もっと昔、
気の遠くなるような遠い過去の時のさて、
地球という惑星がかでき、水というものがその表面を冷やし
海と言うものができ永い永い時が過ぎ、
生命と言うものが生まれた。
二酸化炭素を取り込み、酸素を放出する有機生命体だ。
そして永い月日が経った。
植物と呼ばれる生命体が地球にあふれ、はびこると、
今度は酸素を取り込み、二酸化炭素放出する生命体が生まれた。
理由は地球を囲む大気が酸素ばかりになると植物が絶滅するからだ。
新しい生命体は酸素ばかりになると植物が絶滅するからだ。
新しい生命体は雌雄が明確に分離して、躍動的な移動力を備えていた。
環境に適応するためである。
長い年月が経った。
地球は陸も海も生命で溢れている。
陸は木や草が生い茂り昆虫類が飛び交い海は魚が泳ぎ回っている。
やがてビッキーの祖先が、水から顔を出し陸に上がる。ダーウィンによると動物は系統的進化をとげ哺乳類というものになる。
永い時間が経過した。
大陸のジャングルに群れてた猿の中から、1人の男が2本の足で立ち、サバンナを歩く。
手は自由で棒や石を持つ。
火を使うことを覚えた。
男は旅をし、黄金色に輝く草原を見た。
その実をとって皮をむく。
硬い実を噛み潰しながら唾液で柔らかくして火にあぶる。
香ばしい香りと、かつてない柔らかく美味な食べ物ができた。
カメリーナの誕生である。
男達の仲間や子孫たちは、その実を栽培し、畑を作り定住するようになる。
もはや獲物を追って大陸を移動する必要はなくなった。
ユーラシア大陸の東と西で村を統合して国というものをつくる男が現れた。
人類の文明というものが始まる。
マケドニアの羊飼いアレキサンダーグレイトは愛馬を駆ってギリシャを制圧し
軍を率いてペルシャを破り
東へ東へと進む。
アレキサンダーはこの時代のすべてのヨーロッパ人と同じく世界は陸でできていると信じていた。
陸はどこまでも続き、進み、そして知ることができると。
科学というものの根拠である。
母なる大地と言う。
ガイアと呼ぶ。
古代ギリシャ神話では世界はウラノス(夫)とガイア(大地)から成り立ち、この2人の幾世代かの子孫がオリンポスの神々で、その兄弟、妻や愛人や子供たちが華やかに活躍する。
だがアポロンやヴィーナス、女神がどんなに人気でもガイアはガイアである。
厳然たる存在である。
人々は海はどんなに大きくても陸に囲まれた池であり、ガイアの子宮であると考えた。
アレキサンダーグレイトは地上の支配者で、この世の全てを得た男であるが、
最も愛したものは、名馬プセファロスとカメリーナであった。
カメリーナはアレキサンダーのおかげで、ユーラシア大陸に広がる。
東へ東へと進むアレキサンダーはヒマラヤにぶつかり、ここはウラノス(夫)とガイアの交わる場所、人間の立ち入ることのできない世界と悟って南へ進む。
インド大陸を制圧しインド洋にぶち当たったアレキサンダーは愕然とする。
「おお、ガイアよ。陸は永遠に続くのではなかったのですか?」
海が陸を囲むという事実を知った最初のヨーロッパ人である。