エルスウェーニョの新着情報やお知らせ、
ブログをご覧ください。
エルスウェーニョの新着情報やお知らせ、
ブログをご覧ください。
入学式と女子会
エル・スウェーニョ 横浜駅ジャズアンドイタリアンレストラン ビッキーとユーリのグルメ探訪 28話
4月に入って桜も咲いて新学期が始まる。
ユーリの大学も入学式があった。
ユーリは所属しているダンスサークルの新入生の勧誘に精を出したかいがあって
何人かが入部してくれた。
ユーリとキヨは新入生を連れて
横浜駅イタリアンレストラン エル・スウェーニョで軽く歓迎会を催した。
新入生はジュース、ユーリたちはカシスオレンジやファジーネーブルといった軽めのカクテルをたのんだ。
若い女性らしくサラダとパスタを中心にメニューを選ぶ。
季節の野菜サラダはスイスチャード、わさび菜、サニーカール、ロケットといった緑色生野菜と完熟トマト。
野菜のバーニャカウダは煮込み野菜を中心に
セロリ、玉ねぎ、パプリカ、ピーマン、ナス、菜の花、春キャベツなどを軽く煮込んでアンチョビとにんにくにオリーブ油のバーニャカウダソースをつけて食べる。
煮こむのは野菜の味を引き出すためである。
現代の野菜はそれ自体味がうすいので本来の美味しさを引き出すために軽く手を加える必要がある。
パスタはデュラムセモリナ粉をあのおいしい水で練って伸ばして切る手打ち生パスタをおいしい水をたっぷり沸かして茹でる。
ソースはマスカポーネトマトと桜のクリームとパルミジャーノチーズクリームの三種のソースでそれぞれ三皿つくってくれた。
通常の乾燥麺のスパゲティはまずにんにくと赤とうがらしのペペロンチーノ。
一番簡素な手法であり、一番人気の高いスパゲッティながらおいしくつくるのはむずかしい。
次は自家製ラグーソースのスパゲティ。
ラグーというのは肉と野菜を軽く煮込むという意味だ。
そして次は松の実とバジルのジェノベーゼスパゲティ。
若い女の子たちは新生活への期待と希望でいっぱいの楽しい雰囲気の中で
エル・スウェーニョのパスタを食べながら打ち解けていくのであった。
第28話 終わり
エル・スウェーニョ 横浜駅ジャズアンドイタリアンレストラン ビッキーとユーリのグルメ探訪 27話
入社式の女子会
ユーリの先輩のマコとナオは4月1日から社会人となる。
マコは証券会社、ナオは医療機器メーカーに入社した。
学生時代とはおさらばだ。できればもっと学生の身分でいたいというのが本音だろう。
入社式で多くの新入社員と顔を合わせた。
夜は、マコとナオ、友人のキヨも誘ってユーリは横浜駅で待ち合わせて、
イタリアンレストラン、エル・スウェーニョにやってきた。
マコとナオは緊張の一日だったので、おいしいものをいっぱい食べたいのだ。
4人の若い女性はイタリア、フェラーリのスカリエッティ ロゼのスプマンテでお祝いの乾杯をした。
「おめでとうございます!」
「ありがとう!」
お料理は2000円の女子会コースだ。
スイスチャード、わさび菜、サニーカール、ロケットといったグリーンサラダに
完熟トマト、菜の花のおひたし、セロリ、パプリカの軽く煮込んだものをのせたおまかせサラダ。
モッツァレラチーズ、
スモークサーモン、
それからイタリア パルマ産生ハムプロシュートだ。
ふんわり焼きたてキッシュとポテトが出て、
あの炭火で焼くおいしいピザ。 そしていかにも手造りの田舎風ラザニアが来た。
からあげをほおばる。
食欲旺盛の4人は、とてもお腹がすいていたので
イベリコ豚のステーキを注文した。入社のお祝いだ。
野生に近いイベリコ豚の濃厚な肉の味に
イベリコ豚の骨と筋を一週間煮込んだイベリコソースと赤ワインでからめる。
「おいしいいい」
4人の若い女性は口をそろえて、幸せそうに食べる。
デザートは手造りのさくらのアイスクリーム。
さくらのほのかなピンクの香りがひろがった。
第27話終わり
散る桜
満開の桜はすぐに散り始める。
「春のうららの隅田川 かいのしずくも花と散る」
桜吹雪の舞う川の情景が目に浮かぶ。
同じく滝廉太郎の荒城の月も竹田、
岡城址での夜桜の上の月である。
桜が散るということが古来日本人の精神にどれだけ大きく影響を与えたかは想像に難くない。
武士道の精神は潔さということである。
武士は剣を持って戦わなければならない。
相手を倒さない限り自分が死ぬ。死ぬことを常に想定しているのだ。
戦いたくなくても、相手がいくら強くても主君の命であれば逃げることができない。
上意というものによって、宮本武蔵のような剣豪に立ち向かい、
そして斬られるのだ。
あるいはなにか不始末をしでかした場合は切腹ということも当然であった。
自分の命を主君のため、国のため、
家族のためにいつでも捨てるという武士道の高潔な精神構造は
おそらく日本独特のものだろう。
それは桜の散る姿の潔さ、美しさから育まれたものかもしれない。
西ヨーロッパの中世に騎士道というものが生まれ、育っていく。
ユーラシア大陸の東と西で封建社会の中で武士道と騎士道が生まれ
発達し近代市民社会の基礎となるのだ。
江戸の街は、当時は世界で最も清潔で美しく
最も美しい美術文化を生み出したといわれる。
しかしながら、散る桜の潔さを最も強調し強要したのは太平洋戦争末期であった。
ほんの70年ほど前のことである。
映画「永遠の0」でも描かれる神風特別攻撃隊とは
零戦ごと爆弾を抱いて敵艦へ体当たりする。
桜花という爆弾自体に人が乗って体当たりする方法もあった。
横浜駅イタリアンレストラン エル・スウェーニョの奥のテーブルで
ユーリは熱っぽく映画 「永遠のゼロ 」で岡田准一が演じた主人公の話をしている。
ビッキーはフンフンと聞きながら、
パルマ超熟プロシュートを食べながら、
プーリアのイタリアワインを飲んでいる。
第26話 終わり
桜の満開の下 エルスウェーニョ 横浜駅ジャズ&イタリアンレストランでのビッキーユーリのグルメ探訪(第25話)
桜の満開の下
桜の満開の下では人は狂気にかられる。
そう言って幻想的な物語を坂口安吾は展開する。
「桜の森の満開の下」だ。
桜は幻想的である。
今、一般的にお花見として人気がある桜はソメイヨシノ種といって、江戸時代に生み出されたいわばクローン種だ。種はつけない。尋命も短い。
だが、たくさんの種類の桜がある。そして日本古来の花である。
神話の時代、アマテラスの女神の命を受けて、天孫降臨を果たしたニニギは、地上に降り立ち木花咲耶姫をみかけて、ぜひ妻にと望む。
姫の故郷は桜島である。姫の父親は喜んで、木花咲耶姫と岩長姫の二人の娘をニニギに進呈したが、ニニギは美しい木花咲耶姫だけを妻とし、岩長姫は帰してしまった。
そのことによって人間の尋命が短くなったとされる。岩長姫は悲しんだだろうが、人々は岩長姫を慕い歌を作った
君が代は 千代に八千代に
さざれ石の 岩をとなりて 苔のむすまで
この歌は岩長姫を歌った南九州の民謡ともいわれる。
桜の名所は各地にあるが、古来、吉野山が桜の名所である。
古事記の記述によると、ニニギの孫に当たるイワレヒコは日向の美々津を船出し、
東へ進み摂津(大阪)で戦いに敗れ、紀伊半島を回り熊野川をのぼってゆく。
途中、ウカイやイヒカ、イワオシワクといった地元の人に迎えられ、神剣を得て吉野の地にはいり、
ナガスネ彦を敗り、大和に進み神武天皇として即位する。
以来吉野は歴代天皇のゆかりの地である。
役小角はこの地に生まれ、吉野に蔵王堂をつくり修験道密教 仏教をひらく。
役行者は前鬼、後鬼を従え、鬼とともに大和の葛城山から吉野山へ石橋を造るように命ずる。
が、鬼とはいえなかなかそれはできない。吉野の蔵王堂から上の金峰山系は女人禁制の修験道の聖地だ。
西行は吉野山と桜をこよなく愛し、桜の歌も多く読んでいる。
「明日ありと 思う心の 仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは」
「願わくば 花の下にて 春死なん その如月の 望月のころ」
古来、花という言葉は桜を指していたのだ。
京都には代々続く桜守という家系がある。おそらく昔も京都御所の桜の世話をしていたのだろう。
今は全国各地の桜の名木を紹介したり古木の桜の世話をしたりしているそうだ。
桜守氏の話によると、ある所の桜の古木を切ろうとのこぎりをあてた途端に青空に黒雲がひろがり、夏というのに大粒の雹が降ってきたそうである。このように、桜には幻想的な、あるいは物語的な話がたくさんある。
以上の話は、横浜駅イタリアンレストラン エル・スウェーニョの奥の席で、
ビッキーがユーリに語って聞かせている話である。
テーブルには桜の香りのするイタリアのスパークリングワイン、いわゆるスプマンテのスカリエッティがある。
そして、桜の花を漬け込んだクリームソースの手打ちパスタをユーリはおいしいといって食べながら
目を輝かせてビッキーの物語を聞いているのである。
(第25話)桜の満開の下 終わり