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ビッキーとユーリのユルメ探訪 第23話
オリュンポス神殿の大広間のダイニングテーブルで
ビッキーとユーリはゼウスの神と家族の神々と一緒に食事を楽しみながら3Dシアターの映像を見ている。
まるで部屋全体がアテネの町をフワフワ飛んで目の当たりにしているかのようだ。
映像はアテネの街を映し出す。商店街を過ぎ、中央広場にオリュンポス祭壇がある。
今、オリュンポスのお祭りの最中で華やかに飾りつけ、周りは出店でいろいろ食べものを売って人がいっぱいだ。
人々は着飾って、家族で、あるいは恋人同士で楽しげに歩いたり話したりしている。
中央広場の祭壇に人が立った。盲目だ。人々は静かになって祭壇を囲み、その人に注目する。ホメロスだ。
ホメロスは両手を天に差し伸べ、歌い、語り始める。
「ムーサの女神よ 詩の女神よ 我に歌わせたまえ 神々と人々の父ゼウス大神の尊さを、そしてレダの美しさを」
人々はしんとして聞き入る。オリュンポス神殿のビッキーとユーリも聞き入る。
「神々と人々の父、ゼウスは,オリュンポス神殿でゆっくりとネクトルを飲みながら一人の時間を楽しんでいた。
妻の大きな美しい瞳のヘラと娘の気の強いアテナはアテナの街へお出かけしている。
女のすることだ。買い物をしたり食事をしたりすることだろう。
他の子供たち、足首細き麗しのアルテミスは月へ、この上なく美しいアフロディテはエーゲ海へ、でかけている。
息子たちアポロンは太陽へ、ヘルメスは西のアトラス山へでかけている。
末っ子のディオニッソスはどこへ行ったかわからん。
あいつはまったくわけのわからん男で、酒ばかり飲んで全く何を考えているのやら。
ともあれ、平和な日だ。静かな日だ。
ティターン巨神族やギガンテス巨人族との戦いもなんとか終わり、
やつらも地下のハデスのところでおとなしく繋がれておる。
もう戦いを挑んでくることもあるまい。
ポセイドンも海を静かに治めているし人々の暮らしもつつましく平和だ。
やっと平和な日々が訪れてきた。
思えば源初、カオス(混沌)の中から母なるガイアが世界を生み出してから今までずっと戦いの連続であった。
やっと平和な日々が訪れてきたのだ。
そうして全能の大神ゼウスは雲に乗り、平和な地上の上をゆっくりと散歩していくのであった。
地上は緑豊かに、花々が咲き誇り、美しく、そして生命に満ちあふれている。
太陽が輝き、空気も澄んで、美しい世界だ。緑の山々が連なり、緑の牧場が広がっている。
緑の中に美しい泉がある。白鳥たちが水浴びしている。
おや、女が一人歩いてきた。羊飼いの女か。まだ若い。
女は泉のそばに来ると立ち止まり、周りを注意深く見回してから服を脱ぎ始めた。
水浴びをするつもりか。全能の神ゼウスは雲の上から見下ろしていたが、
いやいやここで事を起こしてはせっかくの平和な日々が台無しになってしまう。
今は静かに過ごすべきだと見なかったことにし、ゆきすぎた。
泉と女を通り過ごし、忘れようとしたゼウスの神にガイアとエロース(生命の力)がつぶやきかける。
「あの美しい女が欲しくないのか」
確かに美しい。そうして、全能の神ゼウスは自らの身体を白鳥の姿に変え、いずみへ舞い降りた。
———-
レダは泉に足を入れた。太陽がまぶしく、暖かい。水も暖かい。私の他には誰もいないわ。
なんて気持ちのいい日でしょう。お父さん、お母さんと3人で山の牧場での暮らし。
つつましやかながら平和に育ったわたしも大人になってきたわ。これからわたしはどうなるのかしら。
どんなすてきな男性が現れるのかしら。レダは泉の中でその美しい肢体を長々と伸ばした、
あれ?なに?この白鳥、そばに来て、なんなの。へんな白鳥ね。なに?どうしたの?あっ、何をするの、おまえ。
おまえはだれ?ああ… レダはそのまま気を失った。太陽は輝き。美しい世界を時間がゆっくりと過ぎていった。」
第23話 終わり
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