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エル・スウェーニョマスターの小説 横浜駅ジャズアンドイタリアンレストラン
(七)少年と春
少年は小学校の裏の池であるものを見て、びっくりぎょうてんしました。
(大きい。
りっぱだ。
見事だ。)
それはまだ図鑑にも載っていない。
新種のカエルでした。
みんなはそれをショックと呼んでいました。
少年はショックのことが気になって気になってしかたがありませんでした。
けれども少年が近づくとショックは音も立てず波も立てずに、
水底を優雅に泳いで池の深い底へ隠れてしまうのでした。
少年は考えました。
ショックも息をしているからには、水の中では苦しくなって上がってくるだろう。
少年は池の岸に座って待ちました。
じっと待っています。
何十分かたちました。
まだ待っています。
やがて水の表面が波打ち
ショックが顔をのぞかせ、少年とバッタリと顔を合わせました。
目と目が合って見つめあいます。
お互いに動けません。
目をそらすこともできません。
とても長い時間に思えました。
やがてショックが問いかけます。
なぜ、あなたは、わたしを、そんなに見つめるの?
「おまえは美しい。」
ショックはおどろき、顔を赤らめ水底へ隠れてしまいました。
………
少年とショックは池の淵と水のまん中で何度も会いました。
(おまえはなぜしっぽがない。
手と足があってなぜしっぽがない。
手と足があってなぜ指が五本ある。
なぜつやつやしてきれいな肌をしている。
なぜ足が長くてなまめかしい。
おまえたちの祖先が、初めて自ら顔を出したというのが本音か。
どうしてそんなことができた。
冬の間どうしている。
秋、どのように息を止め、
春、どのようにして吹き返す。)
「そんなの知らない。私はただ水の中で生きているだけ。また会いに来てね。さよなら。」
………
少年はショックをつかえまえたくてしかたがありませんでした。
でもいつも深い水底に逃げてしまうのでした。
少年は顔をめぐらせました。
そしてこんどは池の反対側から岸にいるショックを驚かせようとしました。
ショックは水の底に隠れていました。
池を回ってみると思ったとおりショックは浅いところに隠れています。
池の底の泥が盛り上がってその下にいます。
少年はドキドキしながらそうっと近づき、手でやさしくショックの腰をつかみました。
柔らかい感触。
持ち上げました。
驚いたことにショックはジタバタせず、手足を大きく伸ばして、
うっとりと少年を見つめています。
「ああ、やっとつかまえてくれたのね。これで私は、あなたの、もの。」
………
少年は大きな樽の中にショックの家をつくり、毎日、会いに来ます。
石の屋根をとるとショックの美しい姿がさらされてショックははずかしくてもじもじしています。
なぜ、あなたは、わたしを、そんなに見つめるの。
………
数日がたちました。
数週間がたちました。
ショックはだんだん痩せて弱っていきました。
えさのかつお節には手をつけません。
「なぜ、食べない。」
「私は野生のいきもの。あなたのものとなったからには、このままあなたのそばで死なせてください。」
………
「知らなかったんだ、ゆるしてくれ。」
少年は心で泣きました。そして弱ったショックを抱いて池に連れてゆき、水に離してやりました。
弱々しく泳ぎながらショックは少年に別れをつげました。
「さよなら、いとしい人。愛してくださって幸せだったわ。私はこのまま死ぬけど今度は人間の女に生まれ変わっていつかきっとあなたに会いにゆくわ。さようなら。」
(第七話 少年の春 おわり)
エルスウェーニョのクリスマスメニュー
イベリコ豚のステーキのコース
19時からジャズのライブも楽しめます!
楽しくて幸せな気分のクリスマス♪
メニュー
手作り炭火焼パン
水牛モッツァレラチーズと完熟トマト
スモークサーモン
彩り野菜のサラダ
野菜のポタージュ
イベリコ豚のステーキ
シュトーレンを添えたクリスマスのデザート
コーヒーor紅茶
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コース料金税込3,900円 ライブチャージはありません。
22時以降お一人様500円のバーチャージがお会計に加算されます。
本日12月22日火曜日満席となっております。
🎄クリスマスのジャズライブ予定 🎄
20時から22時頃まで
今週の予定
12/20(日):沖田明vo 沖田大佑pf 神谷誠cajon
12/22(火):山本麻里子pf 斉藤草平b
12/23 (水) : 中村昌博(ピアノ) 梶孝拓(ベース)
12/24 (木) : 明石みつこpf
12/25 (金) : 朝倉浩之pf
12/26(土):稲葉ヒロハルorg 山口裕巳ts 佐藤克巳gt
横浜駅 イタリアンダイニング エルスウェーニョ
クリスマス☆ジャズライブと共に楽しむイベリコ豚のステーキコース
(税込3,900円)
メニュー
手作り炭火焼きパン
水牛モッツァレラチーズと完熟トマトのカプレーゼ
スモークサーモン
彩り野菜のサラダ
野菜のポタージュ
イベリコ豚のステーキ
シュトーレンを添えたクリスマスのデザート
コーヒーor紅茶
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エルスウェーニョ・横浜駅イタリアン・レストランでのビッキーとユーリのグルメ探訪(11)
11話 クリスマス
今年もクリスマスがやってきた。
毎年やってくる。
ビッキーは大好きなユーリと一緒に
横浜駅・イタリアン・レストラン・エルスウェーニョで
クリスマスイブを過ごそうと思っている。
プレゼントは何がいいかな?
高価なものは買えないし、
と言ってつまらないものじゃだめだし、
なんでこんなことを悩まないといけないんだ。
ばかばかしい。
でもユーリを喜ばせたいし。
何がいいかなぁ。。。
クリスマスイブの夜
ビッキーとユーリはエルスウェーニョにやってきた。
入り口と店内は控えめに飾り付けをしてクリスマスを祝っている。
店内は既に何組かのお客様がゆっくりとディナーを楽しみ、
クリスマスソングを弾くピアノに耳を傾けている。
「やあ、ビッキーさん、ユーリさん、メリークリスマス!」
と江野が迎えてくれた。
席はピアノを囲む2人席のテーブルだ。
メニューはクリスマスコースが用意されている。
メニュー
自家製パン
オードブル
お任せサラダ
ミネストローネスープ
イベリコ豚のステーキ
クリスマスのデザート
まずはロゼのスパークリングワイン カヴァをグラスで2つ頼む。
「乾杯!メリークリスマス」
2人でにっこりと見つめ合う。
サラダとオードブルが来た。
中央にサニーカールとルッコラ、周りを色鮮やかな野菜とサーモンが囲む。
いつもながらおいしい。
ビッキーとユーリ。若い2人は喧嘩もするけど仲が良い。
いろいろなところに出かけ、
色々な人と仲良しになる。
友達の事や音楽や映画や文学のこともよく語り合う。
今年はこのエルスウェーニョという店で
2人でここで過ごした時間が
とても素晴らしく有益に思える。
遠い世界の文化と食に
触れることができたような気がする。
世界は広い。
未来と夢はどんどん広がる。
温かいスープが来た。
カメリーナことトスカーナパンを
スープに浸して食べるとおいしい。
イタリアの山地の田舎の村の情景が思い浮かんでくる。
家庭の味。
お母さんの味。
温かい味。
今夜は特別な赤ワインを注文した。
江野が開けてくれたのは
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 上質のイタリアワインだ。
江野がワインを注いでくれた。
ユーリが江野を見つめて言う。
「江野さん、私たちこのお店に来てほんとに楽しかった。ほんとによかったわ。」
「それは嬉しい限りですよ。
僕もあなたたちのような若い人たちと仲良くなれて
本当によかった。これから先もよろしく。」
「メリークリスマス」
2人はグラスを合わせた。
ワインから豊穣な大自然の恵みの香りが立ち昇る。
口にすると力強く濃厚な味わいが広がった。
メインディッシュのイベリコ豚のステーキが
それぞれに1枚ずつ熱い皿に乗って置かれた。
「おいしそう」
ユーリが目を輝かせてステーキを食べる。
「おいしいぃぃ、」
ユーリの大好物だ。
クリスマスソングの流れる店内で
ブルネッロを飲んでカメリーナやイベリコ豚のステーキを食べて
クリスマスソングの甘やかなピアノの音色に酔いしれて
ビッキーもユーリも
雲の上で遊んでいるように
ふわふわと幸せな気分でお互いを眺めている。
ビッキーはユーリに小さな封筒を渡した。
「これクリスマスプレゼント」
ユーリに対する気持ちを詩に書いたものだった。
照れ臭かった。
「わあー、ありがとう!お手紙書いてくれたの?
今読もうかなぁ」
「ダメだよ帰ってから読んで。」
「そうね、そうする。ありがとう。」
デザートが来た。
江野の知り合いのパティシエが作るデザートだ。
1口食べてユーリは感激する。
やはり女の子だ。ケーキに目がない。
コーヒーも頼んで、ゆっくりとデザートの時間も楽しんだ。
クリスマスイブの夜は更けてゆく。
ビッキーとユーリの若いふたりの
横浜駅イタリアンレストラン・エルスウェーニョでのひとときであった。
第11話おわり
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クリスマス☆ジャズライブと共に楽しむイベリコ豚のステーキコース
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