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横浜駅イタリアンレストラン・エルスウェーニョでのビッキーとユーリのグルメ探訪(十七) ヴァレンタインディ2016.02.07

横浜駅イタリアンレストラン・エルスウェーニョでのビッキーとユーリのグルメ探訪(十七)
ヴァレンタインディ

ユーリはルンルンしながらチョコレートをつくっている。
溶かしてハートの型に入れるのだ。
ラッピングしてプレゼントらしくする。
二つつくった。
一つはもちろんビッキーへ。
もう一つは?
今夜はユーリは先に来て
横浜駅イタリアンレストラン・エルスウェーニョでビッキーと待ち合わせすることにした。
ちょっと早めに横浜駅から歩いてきた。
エルスウェーニョでは江野さんが一人いた。
「こんばんは」
「やあ、ユーリちゃん。いらっしゃい
おや、今日はおひとりですか。
待ち合わせですね。」
ユーリは一人カウンターに座った。
江野と二人きりである。

「何か飲みますか?」
「カヴァにしようかな」

「江野さんも飲みませんか?」
とユーリが言う
「ではカヴァをすこし」
「カンパイ」
と二人でグラスを合わせる。
ユーリは江野と二人きりなのは初めてである。
ちょっとドキドキワクワクである。
「ビッキー君はまだお仕事ですか?」
「そう、終わってから来ますよ」
さしさわりのない会話が少し続いてから
ユーリはチョコレートのプレゼントをカウンターから出して
「これ、江野さんへ」
プレゼントを差し出した。
「わあ、これはうれしいな。ありがとう」

ユーリはじっと江野を見て
「ギリチョコではありませんから。」
と言って、いたずらっぽく笑った。
江野はどう反応していいものかちょっと困って
「ありがとう。いただきます」
と言った。
そしてまたさしさわりのない会話が続いた。
しばらくしてビッキーが来た。
「いらっしゃい。お待ちしてましたよ」と江野。
二人はいつもの個室へ行った。
「ふー」と江野は一息つく。
どうも若い女性と二人というのは疲れるね。
・・・・・・・・
ビッキーとユーリはいつものテーブルで
でカンパイした。
「ハイ。これ、わたしがつくったのよ」
とチョコレートのプレゼントを差し出す。

「わーい。ありがとう」とビッキー
江野にもあげたことは言わないでいた。
今日は四種類の生ハムの皿が最初だ。
パルマ産プロシュートはフレッシュな肉の味わい。
超熟プロシュートは熟成した濃い味わいだ。
クラッテロズイベロ 幻の生ハムは個性的でスパイシーで独特の味と香りで他と比べようがない。
ハモン・イベリコ・デ・ベジョータは濃厚で深い味わいで
何か引き込まれるようだ。スペイン産生ハムの最高峰だ。
「こんなおいしいものはないね。どれもおいしい」
とユーリは幸せそうに言う。
そうしているうちピザが来た。
今日はモッツアレラブッフォラ、水牛チーズのピザだ。
水牛チーズはあまり高温で焼くと香りが失われてしまう。江野の焼くピザは下からパリッと焼きあがり、
上の表面はやわらかくトロリと溶ける感じだ。
水牛チーズのフレッシュな香りと味わいが広がる。
そして独特のピザの生地は小麦粉の香ばしさと味わいの深さが広がる。

江野が毎日こねて、炭火で焼くカメリーナの味はここでしか食べられない独特のものだ。
「ここのピザが最高ね」
とユーリ。
「ピザはどこでも食べるけど江野さんのピザがいちばんだ」
とビッキーも言う。
ひとしきりおしゃべりをして、食事も終わって
今夜はコーヒーとデザートにしようということになった。
チョコレートのロールケーキ。パティシエの宮本のつくるケーキは大人の味で奥ゆかしい。
下村コーヒーの自家焙煎のブラックコーヒーとよく合う。
ビッキーもユーリ幸せな気分だ。
マイルスディビスのトランペットの曲が流れている。
ミュートのロマンチックな音だ。
曲はマイ・ファニー・ヴァレンタイン

             第十七話おわり

エルスウェーニョ 横浜駅ジャズアンドイタリアンレストラン マスターファンタジー  ビッキーとユーリのユルメ探訪 (16話)2016.02.04

エルスウェーニョ 横浜駅ジャズアンドイタリアンレストラン マスターファンタジー  ビッキーとユーリのユルメ探訪 (16話)

深い深い谷を渡ったところは岩山だった。
白く冷たい月がかがやいている。
ビッキーとユーリが岩の道を登ってゆくと、
どこからともなく琴の音の調べと歌が聞こえてきた。
大きな岩の上で一人の男がたてごとを奏でながら切々と歌っている。
月に向かって切々と歌っている。
ビッキーもユーリも心を奪われて歌と音楽に聞き入った。
男は月に向かって歌う。
男の名はオルフェ。
かつて狩人だった弓の名人。
狩りの名人といわれていた。
森の中で鹿を射る。 百発百中だった。
オルフェが作った弓と弦は彼の指が弾く時、不思議な音をかもし出した。
飛ぶ矢も妙なる音を響かせた。
鹿は逃げることなくその音にうっとりとしてその場にたたずむのだ。
オルフェはいろいろな大きさの弓をつくり、いろいろな長さと太さの弦を張った。
それらをはじくといろいろな音が出た。
低く重い音。軽やかな高い音。
オルフェは一つの大きな弓に長さの違う弦をいくつも張ってそれらを弾いて遊んでいた。
不思議な感覚だった。
どこまでもどこまでも低く、
どこまでもどこまでも高く、
見たこともない世界が見えるようだった。
広く広く世界がみえる。 どこまでもどこまでも広く。
そうして遊んでいると、鹿やうさぎが寄ってきて、うっとりと音を聞く。
もう狩りをする必要はなくなった。
ライオンや狼たちも集まってきておとなしく音を聞いている。
森の木や草もみずみずしくそよぎ、岩さえも柔らかくなって聞いていた。
月が輝いていた。
月の女神アルテミスとミューズの女神たちがオルフェを見下ろしていた。
ミューズの一人ユリディスがアルテミスに願い出る。
「女神さま、あの男は音楽に目覚めようとしています。私を彼の元へ行かせてください。 彼に音楽を授けたいのです。」
純潔の女神アルテミスは答えた。
「よろしい、行くがよい。
 ただし、お前の身の純潔は守らなければならない。」
月の女神の許しを得て、ユリディスは地上に降り立ち、オルフェの前に来た。
「私はあなたの妻。  私への愛をその弦にこめて歌うのです。」
オルフェとユリディスは心から愛し合い、
オルフェは音楽というものに目覚めた。
こうして人類に音楽がもたらされた。
オルフェとユリディスは地上で音楽を奏で歌い、
森の木々や動物たちと楽しく幸せに暮らしていった。
月日が流れた。 ユリディスはオルフェを愛するあまり、
自分が人間の女になったような気がしてきた。
天上の世界のことも忘れてしまった。
そして月の女神の言いつけを忘れて、人間の女としてオルフェと愛し合ってしまった。
アルテミスは怒りユリディスを月へ連れもどした。
地上に残されたオルフェは悲しみに打ちひしがれた。
そして毎日毎日ユリディスへの愛の歌と、彼女を失った悲しみの歌を歌った。
世界は悲しみにおおわれた。
太陽は姿をみせず、鳥は鳴かず、沈黙と暗闇の世界になってしまった。
そのような地上のありさまを見て、月の女神アルテミスは心を痛め、
「わかりました。オルフェ、ユリディスをあなたにお返ししましょう。  
ただし、ユリディスが月から地上へ降りる間、あなたは目を上げてユリディスを見てはいけない。
 その間音楽を奏でつづけるのです。」
オルフェは喜びと期待に満ちて音楽を奏で続けた。
世界は喜びをとりもどしつつあった。
音楽は続く、続く、永遠と続く。
そしてオルフェはユリディスが近くに来た気配を感じた。
そして目を上げた。
しかしユリディスは
まだ足が地上に着いていなかったのだ。
ユリディスの姿が遠くなってゆく。
「ああ、オルフェ、もうすこしだったのに。  愛する人 さようなら」
永遠に失われた愛。
茫然とたたずむオルフェ。
「なんということ、なんというおろかな男。」
オルフェはそのままユリディスの後を追うように
岩から飛んだ。
ビッキーとユーリのユルメ探訪 第十六話おわり

エルスウェーニョ 横浜駅ジャズ・アンド・イタリアンレストランでの ビッキーとユーリのグルメ探訪 節分と豆(十六話)2016.02.02

エルスウェーニョ 横浜駅ジャズ・アンド・イタリアンレストランでの ビッキーとユーリのグルメ探訪 節分と豆(十六話)

ビッキーとユーリは久しぶりに二人でデートをして、
夜、横浜駅からすぐ近くのイタリアンレストラン エル・スウェーニョに食事に訪れた。
今日は節分の日、昨日は立春。 まだまだ寒いが春はもうすぐそこ。
鬼は外、福は内といって豆をまくのも節分。
また節分に太巻きの巻きずしを食べる習慣もある。
ちなみに恵方巻というのが最近流行しているが、どうもコンビニの販売商品として生み出されたようだ。
ビルのフロアに豆をまくとあとがたいへんなので、
エル・スウェーニョは豆まきはしないけれど、
イタリアの家庭料理には豆がよく使われる。
トスカーナの人々をマンジャーレ・ファッジョーリ(豆を食べる人々)と呼ぶほどトスカーナではよく食べられる。
白インゲン豆や青インゲン豆、ひよこ豆、ガルバンゾ、
豆の種類は豊富で主にスープにして食べる。
煮豆はお弁当に持っていく。 オードブルやサラダに盛ってもおいしい。
ビッキーとユーリがエル・スウェーニョに入ると、いつもの店員がニッコリと向かえてくれた。
「いらっしゃいませ、まあ、ビッキー君とユーリさん、お久しぶり。
お二人とも元気そうで幸せそうね。」
「こんばんわ」「こんばんわ」 と二人て立ち話になる。
カウンターの大きなハリを越えた小さめの個室に座ると江野さんがやってきた。
「こんばんは。元気だった?」と声をかける。
「こんばんわ」 「こんばんわ、じゃあ赤ワインボトルと今日は豆の料理かな?」
とビッキーが注文する。
「わかりました。そうだね、節分だしね」 と江野は言って下がった。
ビッキーは二人きりでユーリと向かい合っている。
この前の成人式の日のユーリの姿が思い浮かばれる。
急に大人びた感じがしてなんだか照れくさくなった。 これまでとは違って見えるのだ。
ワインはトスカーナのロッソ・モンタルチーノ。
ブルネッロにくらべるとすこし軽やかな苦々しい味わいだ。 「おいしい。」ユーリもニッコリ。
「やっぱりトスカーナワインがいいね」とビッキー
サラダ風のオードブルがきた。 中央にサニー・カールやルッコラを盛り上げプロシュートのスライスと、カップレーゼ。
そして野菜と白インゲン豆の煮込みだ。
イベリコラルドでセロリ、玉ねぎ、インゲン豆をゆっくりとソテーし、パプリカと、
今だったら大根と白菜を加えてゆっくりと煮る。ダシは入れない。塩と少々のコショウ。
ラルドと野菜のうまみが絶妙だ。 「おいしい。何の変哲のないこんな豆がこんなにおいしいなんて」
とユーリはパクパク食べている。
「煮込みの豆と野菜の味とカプレーゼと生野菜のフレッシュな味わいとがお互いに引き立て合ってるんですね」
トスカーナパンのカメリーナが来た。 トリュフオリーブオイルとバーニァソースがそえられている。
カメリーナは夕方焼き上げて、数時間置いてすこし落ち着かせたこのころが最もおいしい。
メインの料理は鶏肉の煮込みスペイン風だ。
鶏もも肉をソテーしいろいろな豆と野菜、トマトで軽く煮込み赤ワインで仕上げる。
肉と豆と野菜が交流しておいしさのハーモニーを生み出す。
「おいしいね」ユーリが幸せそう。
「江野さんの料理がいちばんだね」
ビッキーとユーリはおいしいワインと料理で早春の日を幸せにすごした。
(エル・スウェーニョでのビッキーとユーリのグルメ探訪 十六話 おわり)

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