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オリンポス神殿の大広間のダイニングテーブルで
ビッキーとユーリは神々と一緒に食事を楽しみながら
3-Dシアターで映像を見ている。
映像はアテネの街を映し出す。
まるでそこにいるかのような臨場感だ。
アテネの街の中を広場の祭壇で
ホメロスの詩は続く。
「ムーサの女神よ。詩の女神よ。
我に歌わせたまえ。ヘレネの愛らしさと
ペルセウスとメデューサの物語を。」
メネラウスの王宮でヘレネは少女たちと一緒に暮らしている。
歌を歌ったり踊りを踊ったりしながら、
幸せな日々を送っていた。
王宮には色々な人が訪れてくる。
宴が催されお酒や食事が並べられ、
ヘレネ達少女合唱団が歌う。
ある時ペルセウスという男が訪れてきた。
もうかなり歳をとっているが昔は英雄として有名だった。
ペルセウスはヘレネ達若い者たち相手に
昔の冒険の話を語ってくれた。
アルゴス王 アクリシオスはダナエと言う美しい娘がいたが
孫に殺されるであろうと言う信託があったので
ダナエを石の壁の部屋に閉じ込めて誰も中へ入れないようにしていた。
しかし、全能の神ゼウスは黄金の雨の雫となって石の天井から侵入し
ダナエと交わる。そうして生まれた子供がペルセウスである。
ペルセウスはいわばヘレネのお兄さんである。
海に流された赤ん坊のペルセウスは
漁師に拾われたくましい若者に成長した。
ペルセウス最初にして最大の冒険は
ゴルゴン3姉妹の末娘メデューサの首を取るということだった。
メデューサは、その顔を一目でも見たものは
石になってしまうという恐ろしい怪物女として恐れられていた。
よってメデューサの顔を知るものは誰1人としていない。
ペルセウスは恐ろしかったが、やり遂げなければならない。
メデューサのいる洞窟に入り
剣を持って盾にメデューサを写して首を切ろうとした。
そして盾に写るメデューサの顔を見てはっとした。
「なんと美しい女だ。」
直接顔を見る事はできない。
見ては石になってしまう。
だがこれほど美しい女がいるとは。
美の女神アフロディーテ(ヴィーナス)と瓜二つだ。
「メデューサよ、私はペルセウス。
お前の首を取りに来た。
だがこれほど美しい女だと思いもよらなかった。」
「ペルセウス、あなたを待っていました。
いつか来てくれるだろうと。
私たちゴルゴンの3姉妹は美の3女神
アテナ、アルテミス、アフロディーテの影なのです。
末の娘の私はアフロディーテと同じ顔。
しかしながら女神たちは私たちの美しさを隠すため、
私の顔を見たものは石になってしまうようにしたのです。
ペルセウス、
私の頭に女神からもらった袋を、
本当ならあなたが討ち取った、
私の首が入るはずだったその袋を
被せて連れて行ってください。
私はあなたのしもべとなります。」
「メデューサ、美しい人
私の妻として連れて行く。
お前の顔を見ることができないが。」
ペルセウスは袋をかぶったメデューサの手を引いて旅を続けた。
2人は心から愛し合ったが
ペルセウスはメデューサの美しい顔を見ることはできない。
見れば石になってしまうのだ。
旅の途中
海岸の岩に1人の女が繋がれている。
黒い肌だ。
「黒く美しい人、なぜこのようなところで、
このように繋がれている?」
ペルセウスが尋ねる。
「私はアンドロメダ。エチオピアの王女です。
母のカシオペアが海のニンフをバカにしたので、
海のニンフは怒って怪物を送って、
エチオピアを荒らし回りました。
怪物の怒りを沈めるため
私は生贄となって繋がれているのです。
もうすぐ怪物が来ます。
どうか助けてください。
あなたにすべてを捧げます。」
メデューサが進み出て
ペルセウスに告げる。
「ペルセウス、愛する人。
私がこのアンドロメダの身代わりになります。
この人を妻として連れて行ってください。」
「お前は?
このあとどうする?」
「私はあなたに愛されて幸せでした。
でも私は怪物。
海の怪物を石にして退治してから
ディアミール巨神のところでお世話になろうと思います。
ディアミール巨神はもともと岩ですから
私を見ても何ともありません。
急いで、
すぐそこに海の怪物が来ています。
さあ、2人で行って。
お幸せに。
さようならペルセウス」
メデューサは頭の袋を投げ捨て
迫り来る海の怪物をむかえた。
第25話おわり