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鯉のぼりと山椒魚 エル・スウェーニョ 横浜駅ジャズアンドイタリアンレストラン ビッキーとユーリのグルメ探訪 33話2016.05.31

鯉のぼりと山椒魚
エル・スウェーニョ 横浜駅ジャズアンドイタリアンレストラン ビッキーとユーリのグルメ探訪 33話

 

 

いらかの波と 雲の波
高く泳ぐ 鯉のぼり

川があった。
滝があり、滝の下で魚たちが平和に暮らしていた。
ある時、滝の上のなまずが水をせき止めて滝の下に水が流れなくなり魚たちは困った。
そこで鯉が滝をのぼりなまずをこらしめて、
水はもとどおり流れるようになり、魚たちに平和が戻った。
鯉は魚たちの英雄である。
だがしかし、現代は魚たちがいない。
帷子川にしても大きな鯉ばかり泳いでいる。

どうしたことか?かつて野に小川が流れ、農薬というものが使われず水が綺麗であった時代、
太古の時代からつい50年ほど前までの
永々と続く自然の営みの中で水辺にはたくさんの種類の生き物がいた。
どじょうやメダカといった魚たち。みずすましやほたるやアメンボといった虫たち。そしてかえるや山椒魚の両生類たち。カニもたくさんいた。
いたるところ生き物だらけであった。種の多様性がずっと続いていたのだが、それが失われている。
そして農薬と汚染に強い種だけが生き残りはびこっているのだ。
その最も数の減少した生き物は山椒魚であろう。大山椒魚も昔はウヨウヨいた。
春になると、いちばんにビッキーたちの赤ちゃんと山椒魚の赤ちゃんたちで水辺はいっぱいになる。
山椒魚の赤ちゃんは首のところに扇状の首かざりがついていてかわいらしかった。
大山椒魚は1メートル以上の大きさがあり、外敵もほとんどいないからかあまり動かない。
よって古代の人類にとって貝と同じでもっともおいしくてもっとたやすく手に入る食料であっただろう。
現代では大山椒魚を食べたことのある人はほとんどいないだろう。

ビッキーとユーリは横浜駅イタリアンレストランエル・スウェーニョで今夜は卑弥呼の時代の食べ物を想像している。
稲作も行われ、古代米でごはんを炊いていたとはいえ、魚や貝が今では想像できないぐらい豊富だっただろう。
遠浅の干潟の砂を掘れば貝から身がはみだすぐらいのハマグリやアサリや、
もう今では見ることのできないたくさんの種類の貝がゴロゴロ出てくる。
水たまりには魚たちがウヨウヨいる。川にはウナギやアユなどの魚もウヨウヨいる。
そして大山椒魚もウヨウヨいる。つかまえるのは簡単だ。手でつかまえればいい。
お酒もつくられていただろう。
米のお酒と山ぶどう酒が飲まれていたに違いない。
エル・スウェーニョのテーブルにはイタリアの赤ワイン、カサール・ベッキオ モンテプルチアーノ・ダブレッツィオが置かれている。
力強い赤ワインだ。まだ荒々しさが残る。
10年ぐらい置いておくと熟成され、すばらしい味になるだろう。

 

 

おわり

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