一週間後、舞に送られたヴィンテージワインを味わう会に四人は集まった。
四人が囲い丸テーブルにそのワインは置かれていた。ワインのおりを沈めるために一週間静かに寝かせておくのだ。述がソムリエのようなキザであざやかな手つきで、ワインのボトルを撫でまわし、ラベルを向け、ナイフで首を切る。三人の目がその手先を見つめている。コルクにスクリュー
を細心の注意でねじ込んでゆく、コルクが少し浮きあがってきた。三人の目がコルクに注がれる。ゆっくりとコルクは引き上げられ、ついにワインはこの四人が共有する空気に触れ、生きかえる。述はコルクを嗅いで舞に手渡す。
「いい香り」
高、純も嗅いでみる。カビはついていないようだ。
述は宝物を扱うようにうやうやしくボトルを持ち、舞のグラスに注ぐ。そして高、純、樹分のグラスに注ぐ。
ワインは生きている…