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ビッキーとユーリのユルメ探訪 二十話2016.02.20

  1. ビッキーとユーリのユルメ探訪 二十話雲のように白く、
    羽毛ぶとんのように柔らかく、
    電気毛布のように暖かく、
    ケーキのよい香りの空飛ぶ円パン・カメリーナは
  2. ビッキーとユーリと役行者を乗せてフワフワと飛んでゆく。
    下は広大な大地、ガイアがどこまでも続く。
    世界の初源は母なるガイアであり、世界の果てまでガイアは続く。
    ガイアはまずディアミールとアトラスを生み、
    天を担がせ世界の空間を造った。
    次にガイアは海を生んだ。
    海は大地に囲まれた池である。
    それがどんなに大きくてもガイアがそれを囲む。
    海が生命の源であることに変わりない。
    ガイアの子宮なのだ。
    ガイアから生まれたティディスは、海の女神としてアラル海に住んでいた。
    生命に満ちあふれていたアラル海と
  3. それを囲む緑の地域は豊かで平和な日々が続いた。
    ある時、赤い巨人族が現われた。
    赤い巨人族はアラル海に流れ込む大河の上流に住みついて、
  4. 川の水を飲みほし近くの綿花畑にまきちらした。
    自分たちの畑のためだけに川の水を全部使いつくしたのだ。
    アラル海に一滴の水をも流れ込まなくなった。
    広大なアラル海は年々縮小した。
    緑あふれる岸部はどんどん砂漠となってゆく。
    砂漠に打ち捨てられた船。
    朽ち果てて置き去りにされた船。
    水ははるか向こうへ行ってしまった。
    かつて水が満ち満ちて、
    緑と生命のあふれていた場所が一滴の水もなくなり
    砂漠となってしまった。
    なんというおろかで、狂暴な赤い巨人族。
    そこに住んでいた魚や動物はみんな死んでしまった。
    アラル海の女神ティディスも困って
    ポセイドンのところへいそうろうする身となってしまった。
    ポセイドンとゼウスも困ってティディスを英雄ペレウスに嫁がせることにした。
    英雄とはいえ人間の男と結婚するなど
    女神としては許せないことであったが、
    事情が事情であり、ティディスは泣く泣く
    ペレウスと結婚したのだった。
    生まれた男の子はアキレウスと名づけられた。
    「この子は長く生きられないだろう」
    という神託を受けたので
    母は赤ん坊のアキレウスを不死の水につけた。
    両足のかかとをつかんで逆さまに水につけた。
    かかとだけは水につからなかったのだ。
    そして母はアキレウスを女の子として隠して育てた。
    戦いにまき込まれないようにという母の心であった。
    しかし運命の女神は
    アキレウスをそっとしておいてはくれなかった。
    ————————————————————-
    空飛ぶ円バンカメリーナは
    ビッキーとユーリと役行者を乗せてフワフワ飛んでゆく。
    かつてアラル海と呼ばれ 広大な湖があったところは
    砂漠の死の世界が広がっていた。
    (ビッキーとユーリのユルメ探訪 二十話 おわり)

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