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エル・スウェーニョ 横浜駅 ジャズ アンド イタリアン レストランでのビッキーとユーリのグルメ探訪 十八話
ビッキーは今夜は男同士で横浜駅近くのイタリアンレストランエルスウェーニョに来た。
大学時代の友人のヒーキとカマにひさしぶりに会って飲もうということになったのだ。
ヒーキは背が高く、カマは体が大きい。
三人とも社会人一年目だ。
「こんなところにこんないい感じのお店があったなんて知らなかった。」
とヒーキが言う。
「もう三十年近くもご主人が続けているんだ。」
とビッキー。
「すごいね三十年か、おれたちが生まれるずっと前からだ。」
とカマが言う。
「横浜でこれだけの店で三十年も続いてる店はちょっとないね。
なかなかできないよ。どうしてそれだけ続けられるのだろう。」
とヒーキも続ける。
「横浜駅の前なんてお店がすぐいれかわっちゃって、できたと思ったらすぐ無くなるんだぜ。
でもそんな中で三十年も続けるのはすごい。」
とカマも感心する。
「きっと御主人の気概と能力だろうな。」
とビッキー。
その御主人の江野がやってきた。
「やぁ、ビッキー君いらっしゃい。友達といっしょですかな。」
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「大学の時の友人のヒーキとカマです。」
「みんな若くて元気でいいね。今日はなんにする?」
「サラダとこいつら大食いなので適当におねがいします。
それからワインの白を一本。」
江野がもってきてくれた白ワインはスペインのイニエスタ。
2010年のワールドカップの優勝を記念してキャプテンのイニエスタが自分のワイナリーでつくったワインだ。
116分という記念、渋みのきいた落ち着いた味わいだ。
ちょっと若者三人には大人の味だったかも。
サニーカールとルッコラの生野菜に、トマトと生ハムがたっぷりとのったサラダが来た。
若者たちはバクバク食べる。
生野菜のドレッシングソースは、すこし和風の味わいで野菜の味をひきたてる。
次は若鶏のもも肉のからあげ。
鶏肉をしょうゆとみりんにひたして十分に熟成させ片栗粉でまぶして油で揚げる。
「うまい…。」とカマは感動する。
「これほどおいしいからあげはめったにない。」
とヒーキも同意する。
最近からあげで有名な中津は江野の生まれ故郷のとなりの町である。
メイン料理は特製パエリア。
十穀米を炊き上げて、肉、ソーセージ、野菜を上にのせてチーズをかけて炭火のオーブンで焼き上げる。
スペインのパエリアとは少し違って、和風のごはんの味にいろいろな具の味がからまった特製だ。
「うまい!」
またカマが感動する。
「うまいというほかない。」
とヒーキも感動する。
若者たち三人はこのように若い食欲の求めるまま、
おいしいパエリアにパクついて食べたのであった。
ビッキー
ビッキーとユーリのグルメ探訪 第十八話 おわり