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エルスウェーニョ(横浜駅イタリアンレストラン)マスターファンタジー ビッキーとユーリのユルメ探訪(14)2016.01.31

エルスウェーニョ(横浜駅イタリアンレストラン)マスターファンタジー
ビッキーとユーリのユルメ探訪(14)

ドドドドドドドドド
ビッキーとユーリを乗せてケンタウルス ノートンは走る。
「いろんな人が、オートバイに乗っているんだね」
「リチャードギアってステキ、カッコイイ」
そんな話をしていると
歌が聞こえてきた。
「どーこのだれかは知らないけれど…
疾風のように現れて、疾風のように去っていく……」
向こうから白いオートバイが走ってきた。
乗っているのは白い月光仮面。
陸王750手動ギアのRQで堂々と走る。
「へえ、すごおい」と
見送っていると、また白バイが走ってきた。
警官の姿をしているが三億円事件の犯人だ。
白バイはヤマハRI350.
もし車を運転している人がオートバイマニアだったなら、この白バイと警官がニセモノだと見破ったかもしれない。
RIは白バイに使われたことはなかった。
犯人はどこへ消えたかわからない。
また白バイが走ってきた。CB500だ。
後ろから白バイ隊が追いかけてくる。
白バイが白バイを追う。
「彼は違反追跡中にモデルの女の足を傷つけてしまう。
事件は政界がからんでボツになった。
女は夢を打ち壊されて沖縄へ姉と二人で帰る。
東名高速をスポーツカーが走る。
彼は制服のまま、白バイで女の車を追う。
警察隊が彼を追う。
オン・ザ・ロードを走る。走る。走る。
関門大橋で大規模な検問が彼を待ちかまえている。
一台のオートバイ乗りの750が検問を突破し
警察隊はそれを追う。彼はまぎれて九州へ渡る。
女に赦しを乞いたい一心で彼は走る………」
次にオートバイの一団がやってきた。
横浜ケンタウルスの面々だ。
先頭は飯田繁男氏。
横浜からオートバイを走らせて神戸よりひとっ走り。
神戸でおいしいコーヒーを飲んで
横浜までひとっ走りで帰ってくる。
その間、姿勢のわずかな崩れもない。
まさにケンタウロス族。
またオートバイの一団がやってきた。
ワイルド7のメンバーだ。白バイ機動隊として活躍する。
次に向こうから二台のナナハンが来た。
早川光君のCBと、あいつとララバイの研ちゃんのZⅡだ。
カワサキは当初は750RSと名付けていた。
ファンの間でゼッツーということばが流行し、
Zという名に変更したのだ。
次にまたオートバイが走ってきた。
目が三角でギンとした表情のグンだ。
後ろから刀の秀吉がシビ子を追う。
速い。速い。
グンはコーナーでガードレールを蹴飛ばしてオートバイを立て直す。
「やってもちっとも速くねえという秘密のわざだぜ」
グンと秀吉はイガミあい、ケンカしあうが
鈴鹿の耐久レースで組んで敵愾心を乗り越え、
友情を実らせる。
大散集の中でポップ吉村が言う。
「ほう、おもしろいやつがいる」
「あのノッポのカミカゼやろうですかい?」
とモリワキが聞く。
「ノッポも面白いが、わしが言ってるのはあのチビのほうよ。この何万人の人の中であのチビの考えていることがわかるのが、5人、いや3人か…」
ポップは続ける。
「二人のタイプの違う天才が組んどる。
こいつらが勝つとみた。」
勝つためにはノッポの瞬発力にかけるしかない。それを発揮させるためにはエンジンを温存しなくては。
前の車のスリップストリームに入ってエンジンの回転を抑えて走り、エンジンの負担を軽くする。グンはその音を聞いて秀吉の考えを推して知る。最後の最後にそれが功を奏して優勝する。やったー。
そのポップ吉村が走ってきた。
本田宗一郎と並んで走っている。
第一回鈴鹿耐久レースで無敵のホンダに
ヨシムラGSは土をつけた。
プライベートの個人が大企業に勝ったのだ。
次に一台のCB750が走ってきた。
乗っているのは東本昌平氏。
ドカティSSで始まるライドシリーズはずいぶん続いている。
次にドドドドドドドドというすばらしい音と共にWISAとXSIが並んで走ってきた。
片岡義男氏と柏秀樹氏だ。
この古典的バーチカルツインを70年代、80年代、日本のメーカーもジャーナリズムも忘却の彼方へ消し去ろうというかのごときであった。
その姿勢に不満を持ったファンも多い。
そして次に二台のオートバイが並んで走ってくる。
故中沖満さんと小関和夫氏だ。
中沖さんはヤマハYDSI小関さんはメグロZ7だ。
ビッキーとユーリとケンタウルスノートンににこにこと手を振る。
お二方とも曇りのない目でオートバイを見、愛し、
オートバイのすばらしさを世に伝えてくれている。
……………
ドドドドドドドドド
道はだんだんと続く。
ローマだ。
オードリーヘップバーンがグレゴリーペックのベスバの後ろに乗ってローマの街を走っている。
楽しそうだなあ。
ドドドドドドドドド
道はどんどん続く。
パリの街角だ。アメリがリノの赤いスクーターの後ろに乗ってパリの街を走っている。
幸せそうだなあ。
ジャン・ピエール・ジュネ監督はフェリーニと同じくオートバイマニアらしい。
ジュネ氏は、またショックちゃんも大好きと見える。
彼の、自分の目をつぶして携帯コンピューターカメラで世界を見る
一つ目族は、現在のスマホ族に重なる。

             第十四話おわり

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