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エルスウェーニョ 横浜駅ジャズ&イタリアンレストラン マスターファンタジー
ビッキーとユーリのユルメ探訪 第28話
オリュンポス神殿の大広間のダイニングテーブルでビッキーとユーリは神々と一緒に食事を楽しみながら3Dシアターの映像を見ている。まるでそこにいるような臨場感だ。
映像はアテネの街の情景を映し出す。アテネの商店街の向こうの広場でたくさんの人々の前でオリュンポスの祭壇の上に立つホメロス。ホメロスは両手を天に差し伸べ歌う。
「ムーサの女神よ 詩の女神よ 我に歌わせたまえ ヘレネの美しさを アキレの愛らしさを
メネラオスの王官で、ヘレネは少女合唱団のリーダーとして、訪れる人をもてなしたり年下の少女たちの世話をしたりして暮らしている。
この頃はヘレネは際立って美しい年頃の女となり人気も高かった。
毎年新しい年下の少女が新メンバーとして加入してくるが、
今回はアキレという非常に可愛い女の子が新メンバーとなり、人気を集めた。
ヘレネはアキレの人気に嫉妬した。
ヘレネはアキレを部屋に呼びつけ、アキレの姿を上から下までジロジロ見た。
確かに顔は可愛い。でも、ちょっと変。アキレの体に触れてみた。
「あっ!おまえは男!」
アキレは下を向いて泣き出しそうだ。
「なぜ女の子の姿に?」
「ママのいいつけです」
「ママとは?」
「ティティス」
「おまえがアキレウスなの?」
ヘレネはまじまじと少女の姿のアキレウスを見た。そして将来どれほどの青年になるかを想像して胸が高鳴った。
「いいわ。このことは二人だけのことにしましょう」
そうしてなにくわぬ顔で合唱団で歌い踊り、お客をもてなしてすごした。
やがてヘレネは王メネラオスの妃としてむかえられた。
しかしメネラオスは醜男であった。かつ、兄のアガメムノンの威光で王になっている程度の男でたいした実力者ではなかった。
ヘレネは王妃として何不自由ない生活を送っていたが、夫を愛することはできなかった。
ヘレネの慰めはアキレであった。女の子として連れ回してはいたが、ヘレネの空想の中ではたくましい英雄アキレウスの姿が思い浮かんでいた。
第28話 終わり