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エル・スウェーニョ 横浜駅 ジャズアンドイタリアンレストラン ビッキーの論説 ギリシャ神話 一章2016.02.17

エル・スウェーニョ 横浜駅 ジャズアンドイタリアンレストラン
ビッキーの論説 ギリシャ神話 一章
ギリシャ神話は興味深い豊富な物語にあふれている。

それらのまず、神話の中心である神々と世界はどのようにして生まれたのかということについての神話が、

ヘシオドスの「神統記」によって語られている。

ヘシオドスはホメロスとだいたい同じ時代の農耕を営む詩人であったと伝えられ、「神統記」は、宇宙の生成および神々の系列を伝えた叙事詩である。
それによるよと、最初にカオスが存在し、そこからガイヤ(大地)が生まれた。

「カオス」のものとの意味は空隙とか虚無というべきもので、万物が成立する場所としての存在があったが、後に混沌という意味に変わってくる。
このような自然発生的な生成では、生まれ出るためにその素材が必要であるという考え方から混沌という意味が出てきたのだと思われる。

旧約聖書では神による「無からの創造」が説かれているのに対して、ギリシャ神話の宇宙の成立は、素材から生まれてくるというように、生物学的な世界観といえるだろう。
カオスからガイアが生まれると同時に、別にエロースも生まれ出る。

愛の神エロースはいわゆる男性と女性の愛の営みによって、物が生まれ出るために不可欠な存在であり、ここでは万物を生み出す生の力の象徴とみることができる。
ガイア(大地)は一人でウラノス(天)を生み出した。大地が天を生み出したのだ。

ウラノスは世界を支配し、ウラノスとガイアの間に生まれる神々が、ティターン(巨神)族と呼ばれる。いわば古い神々である。
彼らのうちで、その後の神話で活躍するのは、

すべての海や河川の父である大洋神オケアノスとその妻の女神テテュス、

ゼウスに罰せられて天を肩にかついでいるアトラス、

火を人間に与えたため同じくゼウスに罰せられるプロメテウスなどである。
さて、ティターン族の中のクロノス(時)がウラノスの支配を破って新しい王となるのが、

その時のいきさつは、ウラノスの横暴に怒ったガイアが、息子のクロノスに大鎌を渡しておいて、夜ガイアのそばに横たわったウラノスの男根を切りとらせたというのである。
そして、海に捨てられたウラノスの男根から泡がわきあがり、その中からすばらしく美しい乙女が生まれた。
美の女神アフロディア(ヴィーナス)であるといわれる。
新しい支配者クロノスには、妹のレアとの間に六人の子供ができるが、その「時」という名のごとく残念な性格で五人の子供をすべて呑み込んだ。
六人目のゼウスがなんとか生きのがれ、兄や姉たちを助け出して、ゼウスを中心とする新しい神々はオリュンポス山に陣取って、クロノスらティターン族を相手に壮絶な戦いをくりひろげ、ついにはゼウスらが勝利をおさめる。
こうしてゼウスを主神とするオリュンポス神の支配体制が成立し、ギリシャ神話が展開してゆく。
神々はオリュンポスの山の上で、ネクタル(神酒)を飲み、歌や音楽にかこまれて、憂いのない不死の生活をおくるといわれている。
これが、神々の誕生のだいたいのいきさつであるが、ここに描かれているのは、ウラノス、クロノス、ゼウスという親子三代にわたる支配権の交代である。
これは古代神話に共通する一つのパターンであるともいわれ、日本の古事記にも類似点があるらしい。
しかし、古代ギリシャの場合、紀元前二十世紀後頃インド・ゲルマン系ギリシャ人が今のギリシャ地方へ南下し侵入していった事実があり、ゼウスという名は、彼ら印欧語族の共通する主神の名であり、侵入民の神であった。
それに対して、テッサリア、アッティカ、ペロポネソス半島というギリシャ本土の先住民の神々がティターン族に当たるものと思われ、そして、この場合、ティターン族の敗北という形で、ギリシャ人の侵入が表されたといえるだろう。
これらの三世代にわたる神々の中で、いちばん大きな力を持つのは、ガイアである。
ガイアはひとり一貫した地位を持ち、不滅の存在であり、それぞれの支配者を陰であやつっている。
ガイア(大地)はウラノス(天)を生み出した。
これは、宇宙がどのようなものであるか多少とも知っている我々では考えもつかないことではあるけれど、遠い天空より、まず身近な大地に価値をおくという、ギリシャ民族の特異な見解ではないだろうか。
古代の神話の中をさがしても、このようにおおきな力を持つガイア(大地)に相当するような神格は見出せない。
例えば「旧約聖書」では、神は時間より以前に存在し、無から天地や人間を創造するのであって、人間の現実の生活と神との間は非常に離れている。
日本の神話でも、神々が天上から日本の国を造り出すのであって、農民の生活からは考えられないことだといえるだろう。
それに対してギリシャ神話は、まず人々に農作物の恵みをもたらす大地が宇宙や神々や人々などすべての根源となるのである。
それはまた、神話の形成過程にも問題がありそうである。
古代の神話の多くが、そのときの政治権力や教団の立場によって作られ、整理されていたのに対し、

ギリシャ神話はそういうものから自由に、詩人や遊牧民たちの手によって、自分らの素直な感じ方を表現できたからこそ、大地をいちばん重要な神としたと考えるのである。
古代の生活が土地と離れられないものであり、また農耕の営みによって生活が成り立っていたという民族は多かったはずであるから、

恵みをもたらす母なる大地として信仰するという思想は普遍的に存在することのように思えるが、必ずしもそうではなく、

その他の民族の神話や宗教思想には地母神のような存在はあったにせよ、

このような破格の力を持つガイアというふうな信仰はみられないそうである。
とすると、現代の我々も感じうるなつかしさと豊かな可能性を持つ「母なる大地」は、

古代ギリシャにおいて大いなる神の名を与えられ、ここにみられるような人間と大地との関係は、限りなき豊かさと底知れぬ深みを持つ、存在の母というべきものへの我々に求められている失われた絆ではないだろうか。
大地にこのような大きな価値をおくのは、主にヘシオドスの独創とみなされるわけであるが、彼はまた貧しい農民でもあった。
農耕を営む者としてはいうまでもなく、古代ギリシャ人は大地を万物に生み出す存在の母として、非常に重視していたと思われる。
例えば、後のプラトンにいたってさえ、「妊娠や出産においては、女が大地を模倣しているのだ」と語っている。
つまり植物だけでなく、動物も人間も大地からこそ生まれ出るというように、一般的に考えられていたわけである。
これは、しかしながら、農耕民によってのみ可能な発想だと言え、母なる大地を中心とする考え方は、一種の母権制の表れであるといえよう。
ガイアはこうしてみると、農耕を営んでいた先住民の太古神といえるわけで、

放牧民である侵入ギリシャ人がゼウスとともにギリシャへ南下したのにともない、

このギリシャの地でガイアとゼウスが同居することとなったはずである。
ヘシオドスのガイアをすべての神々との母とする神話は、両者の最初の結合とみることができる。
そうしてその後はゼウスを中心とする神話を形成するが、本当は大地の力は決して小さくなってはおらず、両者は神話の中でさまざまな形で抗争し、結合していくわけである。
オリュンポス神の支配が確立した後にも、ガイアは、まずその外形として、

大地の工作された部分は農耕の神デメテルという農作物の恵みをもたらす女神として存在し、

原子の森や山野は狩猟の女神アルティミスとして、その神秘的な姿で現れる。
また、古い神々の同族としてガイアの力は、ゼウスに反抗するティターン族に現れ、それは特にプロメテウスに代表されている。
さらにガイアの持つ豊かさや神秘性などは、愛と美の女神アフロディテや、酒と陶酔の神ディオニュソスに表されている。
このほかにもガイアは、その広大な姿と豊富さでさまざまな側面を神話の中に反映している。
ところで、ギリシャ神話はヘレニズム時代になると、星や星座に関する話が流行し、大地の地位が消えてゆくのであるが、

本来のギリシャ神話は大地の力が健在で、その力がはっきり現れていた期間のものというふうに考えられるべきであろう。

エル・スウェーニョ 横浜駅 ジャズアンドイタリアンレストラン ビッキーの論説 ギリシャ神話 序章2016.02.17

エル・スウェーニョ 横浜駅 ジャズアンドイタリアンレストラン
ビッキーの論説 ギリシャ神話 序章

 

我々が、普通ギリシャ人と呼ぶ、ギリシャ本土とエーゲ海地域に輝かしい文化を創造した民族は、もともとはインド・ゲルマン語族という、

インド、イラン、アルメニア、スラブ、ゲルマン、ケルト、ラテンなどの言語のもととなった大言語族の一派で、
紀元前二十世紀頃、北方からギリシャの地に侵入してきたといわれている。
そのころエーゲ海域では、クレタ島を中心とするミーア文化が栄え、
シリア、エジプトなどと交わりながら華麗で自由な文化を創造していた。
ギリシャ人の侵入は波状的な浸透というべき温和なものであったので、
彼らは先住民の文化を吸収しつ つ、独自の文化を築き上げてゆき、
ペロポネス半島のミュケナィを中心地としてしだいに勢力を広げ、
紀元前十五世紀頃には、ギリシャ本土はもとよりクレタ島まで支配していたと考えられている。
この時代がミュケナィ時代であり、叙事詩にうたわれた英雄達の時代であろう。
ところが紀元前十一世紀の頃、ヨーロッパの大民族移動を契機として、ドーリス人と呼ばれる民族が急激にギリシャに侵入し、そのためミュケナィ文化は崩壊する。
ドーリス人が侵入した最後のギリシャ人とされており、彼らは定住した後、スパルタを中心地として勢力を持つようになる。
ミュケナィ文化の壊滅の後、数百年はいわゆる「暗黒時代」であり、ギリシャ民族の苦悩の時代であり、
ホメロスの叙事詩は、実はこの暗黒時代に、輝かしいミュケナィ時代を振り返って歌われたものである。
ギリシャ人はやがてその荒廃の時代の中から、ミュケナィ時代のオリエント風の王朝制とは違った、独自のポリス社会を生み出し、独創的な文化を築き上げてゆくのである。
ギリシャ文明は、西洋文明の始祖であり、建築、彫刻、文学、哲学、科学などの広汎な領域で多くの偉大な作品を残し、
それは現代にいたってさえ不滅である。
ギリシャ精神というべきものは、古典古代という呼び名が示すように西洋精神のふるさとであり、
ヨーロッパ精神はある意味で大小いくたびものルネサンスによって、ギリシャへ立ち返ろうとしてきた。
このような偉大なギリシャ精神にすこしでも近づくために、ギリシャ神話に目を向けることはムダであろうか?
ギリシャの神々は我々にとっても、今なお永遠の生命を持って輝いているかのようである。
ゼウス、アポロン、アテナ、アフロディテ(ヴィーナス)、デュオニュソス(バッカス)というようなギリシャの神々の名のごとく、
これほど多くの人々に知られ、語られる神々は他にないであろう。
それらの神々を中心とする神話もまた、我々に親しみ深く、その豊富な物語で我々を魅了する。
しかしながら、ギリシャ神話はおもしろいけれど、子供たちのおとぎ話のような価値しかないという風に思われ、神々というのは、知性の未発達な古代人の妄想でしかないというように考えられがちである。
はたしてそうであろうか?
ギリシャ文化を代表する人たち、特にホメロスや悲劇詩人たちはギリシャの神々と非常に密接な関係を持っていたし、
彼らの偉大な作品は神話に負うているところが大きいはずである。

さらにギリシャ神話は、古代ギリシャのミノア、ミュケナィ、暗黒時代、そして古典期という社会を反映しており、ギリシャ人のものの見方、考え方の反映として語られているはずである。
こういうわけで本論は、
歴史的にギリシャ民族の形成として先住民と侵入ギリシャ人の融合ということに視点をおいて、
ギリシャ神話を解釈することを通して、ギリシャ精神というものの本質に少しでも近づこうと意図するものである。

エル・スウェーニョ 横浜駅 ジャズ アンド イタリアン レストランでのビッキーとユーリのグルメ探訪 十八話2016.02.13

エル・スウェーニョ 横浜駅 ジャズ アンド イタリアン レストランでのビッキーとユーリのグルメ探訪 十八話

 

 

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ビッキーは今夜は男同士で横浜駅近くのイタリアンレストランエルスウェーニョに来た。
大学時代の友人のヒーキとカマにひさしぶりに会って飲もうということになったのだ。
ヒーキは背が高く、カマは体が大きい。
三人とも社会人一年目だ。
「こんなところにこんないい感じのお店があったなんて知らなかった。」
とヒーキが言う。
「もう三十年近くもご主人が続けているんだ。」
とビッキー。
「すごいね三十年か、おれたちが生まれるずっと前からだ。」
とカマが言う。
「横浜でこれだけの店で三十年も続いてる店はちょっとないね。
なかなかできないよ。どうしてそれだけ続けられるのだろう。」
とヒーキも続ける。
「横浜駅の前なんてお店がすぐいれかわっちゃって、できたと思ったらすぐ無くなるんだぜ。
でもそんな中で三十年も続けるのはすごい。」
とカマも感心する。
「きっと御主人の気概と能力だろうな。」
とビッキー。
その御主人の江野がやってきた。
「やぁ、ビッキー君いらっしゃい。友達といっしょですかな。」
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「大学の時の友人のヒーキとカマです。」
「みんな若くて元気でいいね。今日はなんにする?」
「サラダとこいつら大食いなので適当におねがいします。
それからワインの白を一本。」
江野がもってきてくれた白ワインはスペインのイニエスタ。
2010年のワールドカップの優勝を記念してキャプテンのイニエスタが自分のワイナリーでつくったワインだ。
116分という記念、渋みのきいた落ち着いた味わいだ。
ちょっと若者三人には大人の味だったかも。
サニーカールとルッコラの生野菜に、トマトと生ハムがたっぷりとのったサラダが来た。
若者たちはバクバク食べる。
生野菜のドレッシングソースは、すこし和風の味わいで野菜の味をひきたてる。
次は若鶏のもも肉のからあげ。

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鶏肉をしょうゆとみりんにひたして十分に熟成させ片栗粉でまぶして油で揚げる。

「うまい…。」とカマは感動する。
「これほどおいしいからあげはめったにない。」
とヒーキも同意する。

最近からあげで有名な中津は江野の生まれ故郷のとなりの町である。
メイン料理は特製パエリア。
十穀米を炊き上げて、肉、ソーセージ、野菜を上にのせてチーズをかけて炭火のオーブンで焼き上げる。
スペインのパエリアとは少し違って、和風のごはんの味にいろいろな具の味がからまった特製だ。
「うまい!」
またカマが感動する。
「うまいというほかない。」
とヒーキも感動する。
若者たち三人はこのように若い食欲の求めるまま、
おいしいパエリアにパクついて食べたのであった。

 

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ビッキー

 

ビッキーとユーリのグルメ探訪 第十八話 おわり

エルスウェーニョ 横浜駅ジャズアンドイタリアンレストラン マスターファンタジー ビッキー・ユーリのユルメ探訪 十八話2016.02.11

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ビッキー・ユーリのユルメ探訪 十八話

雲のように白く、
羽根ぶとんのように柔らかく、
電気毛布のように暖かく、
ケーキのおいしい香りに満ちた空飛ぶ円パンカメリーナは
ビッキーとユーリと役行者を乗せてフワフワと空を飛ぶ。
だんだん高い山が連なってきた。
向こうは真っ白な険しい山々が続いている。
ゆっくり近づくと平たんな広いところが見えてきた。
薄い水色の空気におおわれている。
家々があって人が住んでいるようだ。
こんな高い場所で、しかも険しい山に囲まれたところに寺院もある。
人々もいる。
知られることのない街。
桃源郷。
かつてヴェルヌ青年は、冒険の心に導かれてこの地に足を踏み入れた。
人々は静かに満たされて暮らしている。
その人々の暮らしにかいま触れる。
若く美しい女性に出会う。
二人はたちまちのうちに恋に落ち愛し合う。
女は120才だと言う。
耳を疑った。
こんなに若く美しい人が120才だと。
信じなかった。
二人は激情にかられ手に手をたずさえて下界の人間社会へ降りて来た。
そこで起こったことは、なんと恐ろしいこと。
女はみるみるうちに…
本当に120才だったのだ

かつて河口慧海青年は、仏の道に導かれてこの地に足を踏み入れた。
人々は仏様の生まれ変わり、
ダライ・ラマのもとで河口慧海はこの地の住民になりすまして
何年もこの地で暮らし、仏の道を生きる。
ダライ・ラマとも親しくなる。
そして仏教の聖典を得てそれを日本に持ち帰る。

映画「セブンイヤーズインチベット」でブラッドピットが演じた
実在のオーストリアの登山家ハインリヒ・ハラーは、
ドイツ登山隊のヒマラヤ遠征中に第二次世界大戦が勃発し、抑留されるが
友人と脱走し 冒険を重ね、この地に足を踏み入れる。
飢えて死にそうな二人をこの地の人が助ける。
「人助けに理由がいりますか?」
まだ少年のダライ・ラマと親しくなり、終戦までの7年をこの地ですごす。

かつてポーランドのラウィッツ陸軍中尉は第二次世界大戦中、無実のスパイ容疑でシベリアの収容所に入れられたが、脱走しシベリア、バイカル湖、モンゴル、ゴビ砂漠、チベット冒険の旅をし、この地に足を踏み入れる。
そしてヒマラヤの越える途中で二本足で立つ不思議な生き物に出会う。

カメリーナはビッキーとユーリと役行者を乗せてフワフワ飛ぶ。
まわりは雪と氷の世界だ。
でもカメリーナに乗ってると暖かい。
ひときわ高い山がある。
雪の上を一人の男が歩いている。
「おーい、雪男君!」
役行者が呼ぶ。
「おお、役上人。こちらはビッキー君とユーリちゃん、
役先生、ごぶさたしております。

お元気でなによりです。
私も先生にならって、ヨガ行者として山岳修行中です。
かつて先生は千日休まず山登りして修行された。
九日間飲まず食わず眠らず横にもならず読経の修業をなされた。
300年ほどそのような修行をして仙人になられた。
私もこの高い山々の雪の中を
裸足でふつうの衣服で歩いて修験道修行をしてまいりました。
おかげで寒さも飢えも薄い空気ものり超えることができました。
我々ヨガ行者の幾人かは、このヒマラヤの高い山々を修行の場として
また、住む場所として永い間雪の中で生きてきました。
地元の人々も我々のことを知っていてそっとしておいてくれました。
違う人たちが来たのは100年以上も前のことです。
ヨーロッパの物好きの人たちがこの地の高い山に登りたがって、
金や物や労力をつぎこんで
どんどんやってきてそして死にました。
普通の人々にとってこの地の自然は厳しすぎるのです。
彼らはこの地をヒマラヤと呼び、
いちばん高い山をエベレストと名付け、
高さも8848メートルと測りました。
何のために?
世界最高峰エベレストを征服する。
征服?
山頂に立つのが征服ですか?
我々はもう何人も何回も来ています。
我々の目的は神々の力を吹き込んでもらうため、
彼らの目的は名誉と威信でしょうか?
それでも最初に来たノートン君とマロニー君は勇敢でした。
また装備も少ない時代、彼らはこの山頂の直下まで酸素の補給なしに登ってきました。
マロニー君は勇気を奮って上へ進み、
頂上に足を乗せた瞬間、
強風に吹き飛ばされて谷底へ落ちました。
まるで太陽に近づきすぎたイカロスそのものです。
あれから四半世紀もたってから、
イギリス大遠征隊や酸素ボンベの助けを得て
ヒラリー君とテンジンが山頂に立ちました。
世界最高峰が征服されたということでしょうか。
ヨーロッパの先進国はヒマラヤの8000メートルの山頂の先陣を
国の威信をかけて争ったのでした。
そうして今は先進の防寒服と酸素ボンベをつけたたくさんの人たちが登ってきて、
山を汚してしまっています。
彼らの希望もわかりますが、山々は神々のもの、
科学技術ばかりに頼っていては、命を吹き込んでもらうことはできません。
私もいつか先生のように空を自由に飛べるようになるまで、
この雪の中で修業を続けるつもりです。」
「雪男君、おぬしならば業は達成させれるじゃろう。
いずれ雲のうえで会うことじゃろう。
がんばるがいい。」
「さよなら雪男さん、がんばってね。」
「さよなら。」
「さよなら。」
雪男はおおきな白い山の小さな点になっていった。

(ビッキーとユーリのユルメ探訪 十八話 おわり)

エルスウェーニョ 横浜駅ジャズアンドイタリアンレストラン マスターファンタジー ビッキー・ユーリのユルメ探訪 十七話2016.02.10

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ビッキー・ユーリのユルメ探訪 十七話

ビッキーとユーリは、今オルフェがいた岩の上にいる。
オルフェのことを思って二人とも泣いている。
「きっと、お星さまになっているよね。」
「そうだね。」
そうしてしばらく二人は泣いていた。
すると山の上の方から大きな岩がゴロゴロころがって落ちてくる。
上から巨人が走って追いかけてくる。
「うわーあぶない。」
巨人は叫んだ。
大きな岩がころがってビッキーとユーリがいる岩をはねとばして下へ落ちてゆく。
ビッキーとユーリはオルフェと同じように空中に飛ばされて深い谷へ落ちていった。
「きゃー、たすけてー。」
「うわーおちるう。」
「うわー、きゃー。」
と空中を落ちたと思ったら、
柔らかい羽毛ふとんのようなものの上に落ちた。
柔らかくて暖かい。
そばに老人が立ってる。
「ビッキー君、ユーリちゃん、悪い、悪い。お迎えが遅れちゃって。」
鬼共をこらしめて時間がかかってしもうた。
わしは役行者、これは空飛ぶ円パンカメリーナだ。
わしのように300年ほど修行すると空も自由に飛べて、
雲のように快適なカメリーナも自由に操れるようになるんじゃ。」
ユーリはカメリーナをさわってみる。

「おいしそう。」
「そうそう、カメリーナのどの部分もいろいろなケーキになっとるんで、
どこでもすきなように食べていいぞ。」
「うわーい。いただきます。」
ビッキーとユーリは回りにあるカメリーナのケーキをバクバク食べているうちに
カメリーナはフワフワと谷を上がっていった。
だんだんに山の頂上に近づいていくと
さっきの巨人が、さっきの大きな岩をゴロゴロ転がして登っている。
「こんにちは役行者殿。
ビッキー君、ユーリちゃんさっきはごめんね。岩がぶつかってしまって。
わしはシジフォス、山の上へ岩を転がして登ってゆくところだ。
山頂へつくと岩はさっきみたいにゴロゴロころがって落ちてゆく。
つまりまったくムダなことをくり返しているように思われるけど、
わしは楽しくてしょうがない。
岩をころがして登るにも力がいるし技術もいる。
山頂についたらどっちへころがるかも楽しみだ。
だいいち頂上についたら終わりだったらその後なにをする?
何度も何度も挑戦できるから人生が楽しい。
アルベールカミュ殿は異邦人の中でわしのことを書いている。
ムルソーはわしだ。人生は不条理なり。」
そう言ってシジフォスは岩を山頂まで転がしていき、
そして岩がゴロゴロところがって落ちてゆくのを、
「キャッホー。」
と叫びながらまた追いかけていった。」
「変な人ねえ。」
とユーリ。
「そうだなわかんないひとだな。」
とビッキー。
役行者はニコニコ笑っている。

空飛ぶ円パンカメリーナはビッキーとユーリと役行者を乗せてフワフワと飛んでゆく。
下は岩山が続いている。
大きな洞窟があってその入口で巨人がひざまづいて洞窟に向かって語っている。
プロメテウスコングだ。
洞窟はゴジラの巣だ。
「ゆるしてください。ゴジラさん。
私が人間どもに原爆と水爆をもたらしたばかりに、あたなたをそんな姿にしてしまった。
南太平洋の海のそこでタツノオトシゴとしてひっそりと暮らしていたあなたを水爆実験が直撃し、
あなたを巨大な怪獣にしてしまった。
みんな私が悪いんです。人間どもは太平洋戦争の時も科学の進歩という名のもとに
広島と長崎に原爆を落とし、たくさんの母親と子供たちを焼きこげにしてしまった。
なんの必要があったのだろう?そしてその反省もないまま、
原爆、水爆を開発し、どこかしらで爆発させ世界中を放射能だらけにしてしまった。
漁船の漁師たちも死の灰をかぶり犠牲となった。
そしていちばんの犠牲はあなただ。
怒り狂ったあなたは世界中を暴れ回り、
人間どもに恐れられ、最強最悪といわれているが、
つい最近まではチェルノブイリや福島で原子力発電所が爆発し、放射能だらけになりました。
まったく制御不能にならないと、ことの大きさに気が付かないのが人間どもです。
科学技術が自然をコントロールできると思いあがっているのです。
それもこれも私が人間どもに原爆、水爆を与えたからに他なりません。」
ドーンガーンと地響きがきこえてくる。
ゴジラがやってくるのだ。
「グァアオー。」
きたーゴジラだ。逃げろー。
「おう、キングコングプロメテウスじゃないか
久しぶりだな。」
ゴジラは話かかける。
「まぁ、おまえ一人が悪いんじゃない。
中にはいってお茶でも飲みながら昔の話でもしようぜ。」
ゴジラとキングコングプロメテウスは洞窟の中へ去っていった。

(ビッキーとユーリのユルメ探訪 十七話 おわり)

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