この炉床をフォカッチャという。薪は熾火や炭火の状態で、数時間に渡ってパン生地と熱く交換する。
村人は主婦の常で炉端会議に花が咲く。
昼頃焼き上がったカメリーナは枕ほど大きい。主婦たちはそれを持ち帰り、各家のイエス・キリストの祭壇にお供えする。
その日は断食だ。
カメリーナをイエス・キリストに捧げ、イエス・キリストの命を吹き込んでもらうのだ。
月曜日のカメリーナはしっとりとやわらかく無上の美味しさだ。
人々は手作りの生ハムや煮豆とともにいただく。
火曜日も柔らかくおいしい。ポルチーニのパスタとカルチョーフィが同伴する。
水曜日にはカメリーナの表面が少し硬くなる。人々はそれをスライスしてトーストし、自家製の生ハムやチーズを乗せていただく。ブルスケッタと言う。