エルスウェーニョの新着情報やお知らせ、
ブログをご覧ください。
エルスウェーニョの新着情報やお知らせ、
ブログをご覧ください。
第31話エル・スウェーニョ 横浜駅ジャズアンドイタリアンレストラン マスターファンタジー
ビッキーとユーリのユルメ探訪
ビッキーとユーリは小学生。
学校の帰りにイタリアンレストラン エル・スウェーニョでお昼ごはんを食べて
奥の部屋のソファーで並んでスヤスヤ眠っている。
頭の上にレダと白鳥の絵がある。白鳥が夢へ誘っている。
ソファーの横の暖炉の上に一つの石がある。阿蘇の溶岩だ。
江野は昔、九州の山の中で岩に刻まれた絵の文字を見てずっと不思議に思っていたが、
最新の研究でその絵文字の解読の記事を読んで驚いた。
それは古代の神代文字だ。
それはこう書かれている。
「日の神のお告げ、婦人を帰せ。さすれば国は治まる。」
婦人を帰せ?婦人とは?
—–
もう一つ。最新の天文学の研究で古代、九州北部で皆既日蝕が見られた。
時は260年7月5日、午後1時頃、日蝕。
太陽が消えるという現象が古代の人々にどれほどの衝撃を与えたか想像を絶する。
—–
ビッキーとユーリの夢を今度は岩が誘う。
—–
—–
ビッキーとユーリはオリュンポス神殿でしばらく優雅に過ごした。
バッカスの神が気持よく二人をもてなしてくれた。
やがて役行者がカメリーナと共に迎えに来た。
「こんにちは、バッカスさん おじゃまします。素晴らしい宮殿ですね。
お酒もお料理もおいしそう。」
「役行者さん、遠いところをよくおいでくださった。どうですか一杯いかがですかな?」
「ありがとうございます。修行中の身なのでお酒は遠慮させていただきます。
ビッキー君とユーリちゃんがたいへんお世話になりました。
さぞ楽しい時を過ごしたことでしょう。」
「なんのなんの、家族の内輪もめに巻き込んでしまって申し訳ない。」
「オリュンポスの方々もこれから大変でしょうね」
「まあアテナの姉さんが気が強いもんで……私はまあ関係ないですがね。」
「そろそろみんなでおいとまさせていただきます。お世話になりました。」
「さようなら、バッカスさん。」
「さよなら、ありがとうバッカスさん。」
こうしてビッキーとユーリは役行者といっしょにカメリーナに乗ってオリュンポス神殿を後にした。
雲のように白く、
羽布団のように柔く、
電気毛布のように暖かく、
ケーキのようにいい香りの空飛ぶ円パン カメリーナは
ビッキーとユーリと役行者を乗せてフワフワ飛んで行く。
下の方を世界が過ぎていく。大陸をどんどん越えていく。
砂漠を越え、山を越え、谷を越え、草原を越え、川を越え、海を越えていく。
—–
雲のような空飛ぶ円パン カメリーナの上からビッキーとユーリは下をながめている。
美しい山や谷が見える。野原の平地も見える。
向こうには海も見える。ポツポツと木と草の住居らしきものがある。
大きな広場に大勢の人たちが集まっている。
古代の人たちだ。桙を持った戦士の人たちもいる。
中央の高台に一人の女が繋がれ、横に髪もじゃの大男も見守っている。
女はアマテス、男はスサノオだ。
ここはアマテスの国。
ツクヨミとアマテスが治めていた平和なこの国にスサノオの強力な軍が侵攻してきて
ツクヨミを殺し、アマテラスを囚えた。
人民の前でアマテスをつなぎ、公開処刑しようとしているのだ。
人々は敬愛する自分たちの女王がどうなることか心を痛めながら見守る、
が、どうすることもできない。スサノオはアマテスをどうするのか?
ビッキーとユーリと役行者も雲のようなカメリーナの上から見守る。
アマテスはスサノオをにらみつけている。しかし両手両足をつながれ、身動きできない。
スサノオの手がアマテスの衣服をひきちぎった。
その時だ。あたりが暗くなった。オオーと人々がざわめく。太陽が欠けていく。
「オオー」
「なんたること、太陽が消えていく。日の神の怒りだ。」
ビッキーとユーリも雲のようなカメリーナの上でびっくりぎょうてんした。
人々は地にひれ伏している。
真っ暗になった。
何も見えない。
何も聞こえない。
思わずビッキーはつぶやいた
「女を放せ」
真っ暗な時が過ぎる。
人々は恐れおののいて地にひれ伏している。
真っ暗闇は永遠に続くのかと思われた。が、太陽は端から少しずつ光を漏らしはじめた。
太陽が少しずつ生まれてくる。だんだん大きくなる。
人々は恐ろしくて顔を上げることもできない。
やがて太陽は生まれ変わり、あたりはもとの明るさにもどった。
そして人々が目にしたものは、
首を切られて倒れているスサノオと解放されて太陽に両手を差し伸ばしている女の姿だった。
女王、日見子(ヒミコ)の誕生の瞬間だ。
第31話 終わり
エルスウェーニョ マスターオリジナルの古代ピザ卑弥呼
ナッツをベースにした香ばしいソース。スペイン産のサラミがおいしさを引き立てます。