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エルスウェーニョ(横浜駅イタリアンレストラン)マスターファンタジー ビッキーとユーリのユルメ探訪(11)2016.01.31

エルスウェーニョ(横浜駅イタリアンレストラン)マスターファンタジー
ビッキーとユーリのユルメ探訪(11)

ドドドドドドドドド
ケンタウルス ノートンは走る。
ビッキーとユーリの二人を乗せて。
道は一本道。
向こうから二台のオートバイが来る。
それぞれ男が乗っている。
ビュッとすれ違いざまに手を振った。
お互いに振り返って後姿を追う。
今のは二台のハーレーチョッパー。
乗っていたのはピーター・フォンダとデニス・ホッパー
イージーライダーだ。
二人はハーレーをチョップ(ぶった切り)し、社会をチョップして走る。
自由を求めて。
ヒッピー
自然に帰れ。
怒れる若者たち。
学園紛争。
ウッドストック。
自由の国アメリカ。
自由のへの闘争。
一人の男がチョッパーの二人に言う。
「お前たちが怖いんじゃない。
お前たちの後ろにある自由が怖いんだ」
そして二人は撃たれる。
アメリカに先立ち
英国で自由の道が探られる。
ロックンロール
ロッカーズとモッズ。
ビル牧師の率いるフィフティナイン(59)オートバイクラブ
エースカフェに集まるカフェレーサーたち
怒れる若者たち
そして日本にも飛び火する
安保闘争
長髪
東大紛争
浅間山荘事件
連合赤軍
ジャズ
ロカビリー
グループサウンズ
フォークミュージック
そしてオートバイ
大きな時代のうねり。

イージーライダーの後を追って、
コワルスキーはトランザムでアメリカを走る。
元レーサーでベトナム雄士で警察官だったが、
女の子を暴行する上司をとっちめて首になる。
海で波にのまれて死ぬ恋人。
盲目の黒人ディスクジョッキー
アリゾナの砂漠での老人と宗教集団。
ヒッピーの男と女。
彼らがコワルスキーを応援する。
警察の威信をかけてコワルスキーを阻止しようとする。
警察の上司が言う。
「いったい奴はなにをしでかした?」
「何も。ただ走っているだけです。」
自由への道は空と地平線に真っすぐに延びる。
地平線のかなたがヴァニシングポイント。
彼はそれに向かって走る。
……………
この時代が今や、遠い過去の出来事のようにもみえる。
だが、いつの時代でも
いかなる人にとっても
ゆく道は
果てしなく遠い

             第十一話おわり

20 × 20

エルスウェーニョ(横浜駅イタリアンレストラン)マスターファンタジー ビッキーとユーリのユルメ探訪(10)2016.01.31

エルスウェーニョ(横浜駅イタリアンレストラン)マスターファンタジー
ビッキーとユーリのユルメ探訪(10)

ドドドドドドドドド
ケンタウルス ノートンは走る。
ビッキーとユーリを乗せて。
道は一本道。
向こうから一台のオートバイが来る。
大きなオートバイだ。
女が乗っている。
美しい女だ。
ビュッとすれ違いざまに手を振った。
お互いに振り返って後姿を追う。
今のはハーレーダビッドソン1200㏄デュオグライド。
黒く大きい。
乗っていたのはマリアンヌ・フェイスフル。
細身のレザーのつなぎ姿だ。
あの胸にもう一度…
黒い雄牛が美しい女を乗せて走る。
かつての男のもとへ。
…………
レベッカは結婚したばかりだ。
夫は教師でパッとしない。
それなりに幸せなのかもしれないが
レベッカはなんとなくつまらない。
そんなレベッカのもとへ贈り物が届く。
レイモンからだ。
贈り物はアメリカ製ハーレーダビッドソン1200.
ヨーロッパには数台しかないしろものだ。
レベッカの脳裏にかつての日々がよみがえる。
まだ娘の時代にオートバイでやってきたレイモン。
モトグッチファルコーネの後ろに乗って遠出した。
冷ややかな風、飛んでゆく景色。
アランドロンの体にしっかりつかまって二人きりで
新しい世界を走る。
アランドロンからオートバイの運転の手ほどきを受ける。
そして恋のてほどきも。
降りしきる雪の中をノートンアトラスに二人乗って走る。
「私の気持ちわかってる?」
山道を登り、雪の中で愛し合う。
……………
今、寝ている夫の横から起き出すレベッカ。
素肌にそのままレザーのつなぎをまとう。
ハーレーダビッドソンにまたがる。
そして走り出す。
レイモンのもとへ。ふりかえる。「抱いてくれたら、いかなかったのに」

黒い雄牛が走る。
美しい女を乗せて。
かつての男の胸へ。
道をどんどん走る。
青春の日々が脳裏をかすめる。
どんどん走る。
道ゆく人。
カフェの人。
橋。
草原。
街。
どんどん走る。
過ぎ去った愛の日々が脳裏によぎる。
走馬燈のように現れては飛んでゆく。
すごいスピードで走る。
前の車を追い越しにかかった。
対向車が来た。
追い抜いてから避ければいい。
スピードをあげた。
そこにオイルが・・・・
目の前にトラックの大きな荷台がせまった。
そこに描かれたデュオニッソスの顔が大きく迫ってきた。
………………
原題は「オートバイ」
フランスのマンディアルクの薫り高い文学作品だ。

             第十話おわり

20 × 20

エルスウェーニョ(横浜駅イタリアンレストラン)マスターファンタジー ビッキーとユーリのユルメ探訪(9)2016.01.31

エルスウェーニョ(横浜駅イタリアンレストラン)マスターファンタジー
ビッキーとユーリのユルメ探訪(9)

ドドドドドドドドド
ケンタウルス ノートンは走る。
ビッキーとユーリを乗せて。
道は一本道。
向こうから一台のオートバイが来る。
男が乗っている。
ビュっとすれ違いざまに手を振った。
お互い振り返って後姿を追う。
今のはブラフシューペリア
乗っていたのはアラビアのロレンス。
トーマス・エドワード・ロレンス
イギリス軍将校にして、単身アラビアの砂漠に向かう。
冷厳にして、苛酷にして
そして美しい砂漠。
砂漠を楽しむものが二つある。
神々とベドウィン。

砂漠の民ベドウィン。
ロレンスは案内のベドウィンの男と砂漠を行く。
井戸がある。
案内の男はロレンスに水を飲ませる。
ふう生き返ったとロレンスは一息つく。
「飲まないのか?」と男に尋ねる。
「おれはベドウィンだ。」と答える。
遠くの山の上から男の叫び声が聞こえる。
案内の男は顔色を変え
バッと逃げようとする。
「バーン」
銃声がして男は死んだ。
遠くからラクダが近づいてくる。
だんだん近づいてくる。
まだまだ遠い。
だんだん近づいてくる。
男が乗っている。
ラクダの男はロレンスの前にきた。
「なぜ殺した?」ロレンスが言う。
「掟を知っているはずだ」
「私は殺さないのか」
「おまえはベドウィンではない」
「彼は飲んでない」
「そうだったか」
オマー・シャリフは言い、ロレンスを連れてゆく。

ベドウィンの族長シャリフのもとでロレンスは彼らと同じ生活をする。
厳しい戦いの暮らしだ。
過酷な自然。
男たち。
やがてロレンスはベドウィンたちの信頼を得、部族たちをまとめあげてゆく。
………………
アラビアのロレンスは退役した後
イギリスでゆったりと暮らす。
愛したのはブラフシューペリア
1000㏄Ⅴツインの当時最速最高のオートバイだ。
数台ブラフを乗りついだ後
オートバイ事故で死んだ。

             第九話おわり

20 × 20

エルスウェーニョ(横浜駅ジャズ&イタリアンレストラン) マスターファンタジー ビッキーとユーリのユルメ探訪(第8話)2016.01.23

エルスウェーニョ(横浜駅ジャズ&イタリアンレストラン)
マスターファンタジー
ビッキーとユーリのユルメ探訪(第8話)

ドドドドドドドドド、、、、
ケンタウルスノートンは走る。
ビッキーとユーリをのせて。
道は一本道。
向こうから一台のオートバイが来る。
男が2人乗っている。
ビュッとすれ違いざまに手を振った。
お互いに振り返って後ろ姿を追う。
今のはノートン500怪力号。
運転していたのはエルネスト。後ろはアルベルト。
エルネスト・ゲバラ。
まだチェ(おじさん)と呼ばれる前だ。
ゲバラは、少年期からキューバ革命を経て、
ボリビアで戦死するまでずっと日記を書いていた。
大学時代、医学を専攻する傍ら、
友人のアルベルト・グラナーデと2人で南米大陸を旅する計画を立てる。
アルベルトのノートン500 1台に2人で乗って。
アルゼンチンの自分の家で旅行の計画を家族に話した時、父親は一言。
「許さん。」
紆余曲折を経て、さぁ出発と言う日の
エルネストを見送る家族の人たちの姿。
お母さんは心配そうに無事に帰ってきてねという。
妹達もそれぞれ心配そうに、かつ寂しそうに
大好きな兄と順番に抱擁を交わす。
まだ幼さの残る弟が行かないでと言う。
お父さんは
「エルネストこっちへ来なさい。」
と彼と2人きりになると
「全く、お前がうらやましいよ。
もう少し私が若かったら、
お前の代わりにあのオートバイにまたがって旅に出る所だ。
気をつけてな。」
と別れの言葉を送った。

怪力号はポンコツだ。
バンバンとマフラーから火を吹きながら
ヨタヨタと走りだす。
子供たちが追いかけて
「走った方が速いよ。」
こうして2人は旅に出た。
怪力号に2人乗りしてテントやシュラフなど
旅の道具をたくさん積んで走る。
草原を走る。
旅だ。世界だ。
馬に乗った男たちと並んだ。
競争だ。
走る。走る。
馬のほうが早い。
途中、恋人の家に立ち寄った。
フランス貴族の館のようだ。
恋人のお母さんは家柄の違いの為か
エルネストとアルベルトに冷たい。
エルネストは恋人と2人の時間を過ごす。
出発は日一日と延ばされる。
恋人が言う。
「じっと帰りを待ってろと?」
やっと怪力号と2人は出発した。
エルネストは走りながら思う。
「いかなる力が私をして旅に駆り立てるのか?旅立たなければいられないのか?」
******************************
チチカカ湖を船で渡る。
エルネストがアルベルトに言う。
「年をとって旅に疲れたら
あの湖畔に診療所を作ろう。
来る人みんな拒まず診てあげよう。」
「いいねえ、そうしよう。」
雪のアンデスを凍えながら超え、
チリを走る。
いろいろな道。
いろいろな街。
いろいろな人。
怪力号は壊れた。
2人で押して旅をする。
怪力号との涙の別れ。
歩いて旅をする。
貧しい若い夫婦と一緒になった。
鉱山で仕事を探すのだそうだ。
「君たちは何の目的で旅をしている?仕事を探しているのか?」
と聞かれる。
エルネストは答える。
「僕たちは旅をするために旅をしている。」
旅をするために旅をする。
……………………………………………..
エルネストとアルベルトは南米の貧しい人たちと
出会い、交流することで社会の現実を思い知らされる。
そしてライ病患者たち。
彼らを世話しながらエルネストもアルベルトも
社会の底辺であえぎ、暮らしている人たちのために
自分の身を捧げようと心に誓う。
後にチェ・ゲバラはキューバ革命を成功させ、
カストロと別れたのち
ボリビアで人民戦線を率い、銃殺された。

(第8話おわり)

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