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エルスウェーニョ(横浜駅ジャズ&イタリアンレストラン) マスターファンタジー ビッキーとユーリのユルメ探訪(第8話)2016.01.23

エルスウェーニョ(横浜駅ジャズ&イタリアンレストラン)
マスターファンタジー
ビッキーとユーリのユルメ探訪(第8話)

ドドドドドドドドド、、、、
ケンタウルスノートンは走る。
ビッキーとユーリをのせて。
道は一本道。
向こうから一台のオートバイが来る。
男が2人乗っている。
ビュッとすれ違いざまに手を振った。
お互いに振り返って後ろ姿を追う。
今のはノートン500怪力号。
運転していたのはエルネスト。後ろはアルベルト。
エルネスト・ゲバラ。
まだチェ(おじさん)と呼ばれる前だ。
ゲバラは、少年期からキューバ革命を経て、
ボリビアで戦死するまでずっと日記を書いていた。
大学時代、医学を専攻する傍ら、
友人のアルベルト・グラナーデと2人で南米大陸を旅する計画を立てる。
アルベルトのノートン500 1台に2人で乗って。
アルゼンチンの自分の家で旅行の計画を家族に話した時、父親は一言。
「許さん。」
紆余曲折を経て、さぁ出発と言う日の
エルネストを見送る家族の人たちの姿。
お母さんは心配そうに無事に帰ってきてねという。
妹達もそれぞれ心配そうに、かつ寂しそうに
大好きな兄と順番に抱擁を交わす。
まだ幼さの残る弟が行かないでと言う。
お父さんは
「エルネストこっちへ来なさい。」
と彼と2人きりになると
「全く、お前がうらやましいよ。
もう少し私が若かったら、
お前の代わりにあのオートバイにまたがって旅に出る所だ。
気をつけてな。」
と別れの言葉を送った。

怪力号はポンコツだ。
バンバンとマフラーから火を吹きながら
ヨタヨタと走りだす。
子供たちが追いかけて
「走った方が速いよ。」
こうして2人は旅に出た。
怪力号に2人乗りしてテントやシュラフなど
旅の道具をたくさん積んで走る。
草原を走る。
旅だ。世界だ。
馬に乗った男たちと並んだ。
競争だ。
走る。走る。
馬のほうが早い。
途中、恋人の家に立ち寄った。
フランス貴族の館のようだ。
恋人のお母さんは家柄の違いの為か
エルネストとアルベルトに冷たい。
エルネストは恋人と2人の時間を過ごす。
出発は日一日と延ばされる。
恋人が言う。
「じっと帰りを待ってろと?」
やっと怪力号と2人は出発した。
エルネストは走りながら思う。
「いかなる力が私をして旅に駆り立てるのか?旅立たなければいられないのか?」
******************************
チチカカ湖を船で渡る。
エルネストがアルベルトに言う。
「年をとって旅に疲れたら
あの湖畔に診療所を作ろう。
来る人みんな拒まず診てあげよう。」
「いいねえ、そうしよう。」
雪のアンデスを凍えながら超え、
チリを走る。
いろいろな道。
いろいろな街。
いろいろな人。
怪力号は壊れた。
2人で押して旅をする。
怪力号との涙の別れ。
歩いて旅をする。
貧しい若い夫婦と一緒になった。
鉱山で仕事を探すのだそうだ。
「君たちは何の目的で旅をしている?仕事を探しているのか?」
と聞かれる。
エルネストは答える。
「僕たちは旅をするために旅をしている。」
旅をするために旅をする。
……………………………………………..
エルネストとアルベルトは南米の貧しい人たちと
出会い、交流することで社会の現実を思い知らされる。
そしてライ病患者たち。
彼らを世話しながらエルネストもアルベルトも
社会の底辺であえぎ、暮らしている人たちのために
自分の身を捧げようと心に誓う。
後にチェ・ゲバラはキューバ革命を成功させ、
カストロと別れたのち
ボリビアで人民戦線を率い、銃殺された。

(第8話おわり)

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