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横浜駅イタリアンレストラン・エルスウェーニョでのビッキーとユーリのグルメ探訪(8)2015.12.06

横浜駅イタリアンレストラン・エルスウェーニョでのビッキーとユーリのグルメ探訪(8)

ユーリはCDを聴いていた。オペラ・カルメン。
心を奪われるその素晴らしい歌声は
マリアカラス。
二十世紀最高のディーバ(女神)
最高の歌姫といわれている美しい女性。
オペラ、特にイタリア歌劇は永い歴史と
最高の音楽ときらびやかな舞台、テノールやソプラノのすばらしい歌で人々を魅了してきた。
時代はドミンゴ、カレーラス、パバロッティという三大テノールが大スターである。
マリアカラスはその存在感のあるすばらしい歌のみならず
恋多き美しい女性として多くの男性をとりこにし、浮名を流した。特に世界最高の富豪オナシスとの関係とその後のジャクリーヌ・ケネディ前夫人への敗退。
世界中のスキャンダルだった。

オペラは舞台で劇を演じながら音楽が演奏され、アリアと言われる歌を歌う。劇は素晴らしい名作が多い。
カルメン、椿姫、マノン・レスコー、など特に女性の主人公の文学作品がたくさんある。
音楽はこれはもう最高だ。
モーツァルトはオペラに対して最もその才能をつぎ込んだ。
ロッシーニやビゼー、ヴェルディ、ワーグナーなどの偉大な作曲家がオペラにその情熱を傾けた。
それからディーバ(ソプラノ)テノール。
伝説の歌手がミラノスカラ座やヴェネチアのフェニーチェ座の舞台で歌った。
イタリア語ほど音楽的な言葉はない。
美しい響きとイントネーション。
イタリア歌劇、つまりオペラは人類最高の文代芸術の一つとして世界中の人々に愛されている。

ユーリはマリアカラスの歌声を聞いて
オペラに夢中になった。
イタリアのミラノスカラ座でオペラを直接見たいと思った。
そんな所、東京国立教劇場でのミラノスカラ座の引越し公演の予定をきいて、あとさき考えずにチケットを二枚買った。ビッキーと一緒に行くんだ。
公演の夜。
ユーリはシフォンのワンピースに着替えて、スーツ姿のビッキーと連れ立って出かけた。
演目は「椿姫」
舞台の目の前のS席だ。
オーケストラを間に挟んで演ずる人たち
歌手たちの顔をよく見ることができた。
すばらしかった。
アリアがすばらしい。
「乾杯の歌」のすばらしいメロディと歌声。

初めて目のあたりにするオペラに
ビッキーもユーリも夢の世界にいるようだった。
夢から覚めて電車に乗って
二人は横浜駅に帰ってきた。
横浜駅から歩いてイタリアンレストラン・エルスウェーニョに向かった。もう一度夢の時間を持ちたい。
スウェーニョとは夢という意味である。
遅い時間だったので、江野一人カウンターに
立っていた。
「こんばんは」
「やあ、こんばんは」
ビッキーとユーリは初めてエルスウェーニョのカウンターバーに座った。
とてもいい雰囲気だ。客席のテーブルとはまた違ったおもむきだ。
江野の前に向き合って座ると
ユーリはちょっとドギマギした。
江野はバーテンダーとしてのキャリアもある。

たくさんのお酒のボトルを背にしてバーに立っている姿は恰好良かった。
「今夜はオペラを見てきたの」
「それはすばらしい。よかったでしょう」
「すばらしかったわ」
ビッキーはジントニックを注文する。
ユーリは思い切って
「赤のイメージで何かカクテルをつくってください」
といった。
江野はにっこりと笑って、
「では」といって何本ものリキュールを手早くシェイカーに入れ氷といっしゃにシャカシャカと振り、
ユーリの前のカクテルグラスに注いでくれた。
色は黒めの赤。
「おいしい。何て名前なんですか?」
「ディーバ」
三人ともにっこり笑って顔を見合わせた。

              第八章おわり
20 × 20

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